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月夜譚 【No.201~No.300】

旅する薬屋 【月夜譚No.281】

作者: 夏月七葉

 ここはマンドラゴラの群生地らしい。ここから見渡す限り、あちこちにマンドラゴラの葉が見える。

 マンドラゴラの根は人の形をしており、引っこ抜いた時に上げる叫び声を聞くと死に至る植物だ。その為、採取には苦労するが、良い薬の材料となる。

 旅の途中で偶々立ち寄ったとはいえ、折角だから少々採取しておきたい。彼女は荷物を背負い直して、採取するのに丁度良い個体を探しながら歩き出した。

 微風に緑を揺らす様子は長閑で平和的だというのに、引き抜いた途端に見た目も声も極悪になるのはどうしてだろう。眼窩が落ち窪んだしわくちゃな人の形の根というのは、どこからどうみても不気味でしかない。

 遠目に見えた白いものは、考えなくマンドラゴラを採ろうとした者の成れの果てだろうか。彼女は見なかったことにして、先に進む。

 良さそうなものを見つけた彼女は軽く手を振って自身の耳に魔法をかけ、次いで別の魔法でマンドラゴラを手を使わずに地中から引き摺り出した。叫びが終わった頃に魔法を解くと、風の音と共にコロンとマンドラゴラが土の上に転がる。

 二つの魔法を同時に使うのは疲れるのだが、マンドラゴラの採取には仕方のないことだ。もう二つ三つ採れば、次の町で売れる薬の材料になるだろう。

 薬の調合の手順を脳内でさらいながら、彼女は不気味な根っこを拾い上げた。

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