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【SS追加済】ホワイト・イノセント  作者: 遊一(Crocotta)
【SS】続・ホワイト・イノセント(序章)/始まりのカンタータ
43/48

9

「お前が森本か?」

「そうだけど……」


 俺は声の主を見下ろした。

(今日はやたらと小学生に縁があるなあ……)

 目の前に居るのは、身長が浩二の腰ほどしかない小さな少年だった。


「待たせたな。鏑木夕だ」

「……」

 田中(仮)を見る。若干口元が笑っていた。

「田中……」

「いや、一番の実力者って言うのは本当だよ。爺さんの方もいるが、なにぶん歳だからな」

「田中……?」

 鏑木が不思議そうに田中(仮)を見上げている。

「おお、こいつ田中って言うんだ、よろしくな」

「すぐにばれる嘘をつくんじゃない」

「ちっ……」

 舌打ちをすると、鏑木がおかしそうに笑った。


「ふは、森本は面白いな。気にいった、その目治してやる」

「治せるのか?」

「ああ。面倒だしどうしようかと思ってたけど、いいよ。治す」

 鏑木が笑ったまま答える。


「俺は何をしたらいい?」

「そうだな。その目は過去の事象から起因しているようだから、まずは過去を想起する必要がある」

「なるほど……?」

(ちっこい割に、難しい言葉を使うな……)

 もしかしなくても、俺より頭が良いんじゃないだろうか。


「あっちに池があるから、そこへ」

「ああ……」

 素直に鏑木の後ろをついていく。移動する際、空に見知った顔が見えたので、手を振ってみた。

『なっ……』

「ん、今の声は……?」

「どうした田中、幻聴か?」

「田中じゃない」

「何か変な声が聞こえた気がしたけど」

 鏑木もきょろきょろとあたりを見回すが、何もめぼしいものは見つからなかったらしく、最終的に聞き間違いと言うことで落ち着いた。


(5分弱ってところか)

 ちらりと振り返ると、驚いた表情で口をパクパクさせる加奈の姿が浮かんでいる。

(視力よりも鼻のほうが利くと断言した田中(仮)はともかくとして、一番の実力者だっていう鏑木にも見えないなら、これは幽霊ほんにんの能力値の問題じゃなく、見る側の個体差ってことなのか……)


 そういうことであるならば、当時の佳菜依が驚いてたのも頷ける。普段はこんなに早く見破られることはないのだろう。

 普段はフィルターとやらで全然機能していないわりに、偶に使う時にはかなり高性能らしい。今後もこのクォリティーを保持できるかは定かでないが。

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