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加奈の案内によってたどり着いた場所は、小奇麗な神社だった。
「鏑木神社……」
「そう。ここはね、本物。霊力の強い人がたくさんいる」
「ふうん」
「私は隠れてるから、あとは頑張ってね」
加奈が言う。
「お前は付いてこないのか?」
「うん。見つかったら、話す間もなく強制成仏させられちゃうもん」
「物騒だな……」
「生きてる人は大丈夫!終わったら呼んで。そしたら出てくる」
「ん、わかった」
答えると、すぐに加奈の姿が消えた。
「何分持つかな……」
「半日くらいは持つよ!!」
独り言のつもりだったが、聞こえたらしい。
「あはは、悪いこっちの話。見えたら言うわ」
「呼ぶまで見えません!」
「ん、まあ行ってくるわ。加奈も頑張って」
「……」
気を損ねたのか、返事がない。
「ワン子、頼むな」
「にゃあ」
ワン子に声をかけ、俺は神社の中に足を踏み入れた。
一歩足を入れると、爽やかな風が頬をすり抜ける。
「おー、確かに本物っぽい」
「どちらさま?」
顔を上げると、見知った顔がこちらを見つめていた。
「あれ、浩二……?」
「田中(仮)!!」
「田中って誰だよ!!!しかもカッコ仮ってなんだ!!」
盛大な突っ込みが返って来た。うん。これは俺の良く知る田中(仮)だ。
「田中っぽいから良いかなーと」
「よくねえよ。田中は赤の他人だよ、一文字も掠ってねえよ」
「悪い悪い」
まあ名前が思い出せないうちは田中(仮)としか呼べないんだけどな。




