表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/40

修行

陛下の見た目だが、説明するのが難しい。全ての魔族の特性を取り入れた禁忌の王。人間たちはそう呼んでいる。


まずオーガのツノとサキュバス特有の羊のツノ、頬には稲妻の様な悪魔の魔紋がある。目は白目が黒く染まって降り、赤色の瞳だ。恐らくこれが宵闇ノ魔眼だろう。そして耳はゴブリンの緑色をしている。


そして背中にドラゴニュートの羽と手には鱗。鱗は全て上位のゴーレム種の様な金属の光沢と硬さを誇る。腰にはサキュバスの蝙蝠の羽。左足はシャドウの足。影でできた足だ。


尾は、コボルトの中でもフォックス種の狐の尾が五本あり、ミノタウルスの牛の尾がある。よく見ないと分からなかったが、爪が蹄の様に黒くなっている。


「刮目せよ、この豪華絢爛なる我が別荘を。フハハハハ!オレが設計したのだぞ。やはりオレはあらゆる事に才能があるようだな」


その言葉に偽りはない。豪華絢爛ながらもやりすぎずに調和をとり、金と宝石が生かされている。普通に凄い。


「少し待っていろ、修行の間でも用意する。ベースは普通のでいいが、破壊してもいいように世界から隔離は当然だな。内部時間も弄るか。ふんこのままこうして。30分もすればできるな。加速率は350倍位で死なないように・・・」


待つこと20分・・・30分だったのでは?


「我が才は制御できぬからな。全く、恐ろしいものだな。入れ。三年ほど鍛てやる。なに、外だとたった三日だ」


何か凄いのは分かる。でもよくわからない。これがどんな価値を持っているのかどうか分からない。そう思いながら入る。が、特に何か変わったと言うことは無い。


「グハァッ!」


突然殴られた。何故だ。展開が急すぎる。歯が折れ、顎の骨も粉砕される。アドレナリン出てるから痛みは何とか我慢できる。


「ここに入った以上、油断は許さぬぞ。油断したら死ぬと思え。戦場の辞書に正々堂々と言う言葉は無い。心せよ。最強たる魔王の講座だ」


そう言うと、様々な武器を落とす陛下。視線を見るに、おそらく取れという事だろう。槍を選択する。戦場において槍はかなりの強さを誇ると教えられた。


槍を構える。不思議と今までより軽く感じる。種族改変によるステータスの上昇の影響だろ・・・・ッ。いきなり魔法が飛んでくる。圧倒的な弾幕だ。


盾は持っていない。さっき拾わなかった。弾幕からして避けることは不可能だろう。なら防ぐ手段は・・マフラー、石で編んだのだ、ある程度の防御力がある筈。


「ふん、無意識下での【思考加速】か。【並列思考】も引き出したいところだが、奇襲でもしてみるか」


身体が強張る。奇襲する。そう明言された。なら警戒だけすればいい筈だ。なのに怖い。考えるのと警戒するのと、同時にしないといけない。そう思っていると自分の中から声がする。俺が警戒する。お前は考えろと。


この時、レバードは分かっていなかった。これが憤怒ノ魔眼の副産物だということを。魔眼は独自の魔法器官だ。身体の中に内臓と共にある魔法器官では無い。


魔眼は生きている。脳もない、ただの目玉だ。ただ、それでも、魔眼は生きて、確固とした意思を持っている。魔眼に身体の自由を奪われる魔眼持ちもいる。


だがそれは生まれながらの魔眼持ちに多い。生命の危機に瀕し、目覚めた魔眼は持ち主をしっかりと主と認めて、主のために動く。


特にこの憤怒は、極限までの怒りによって生み出された品である。主の報復に必ず手を貸すだろう。主の忠実な部下となる。


勝手な戦争の都合で呼び出して、戦いを知らぬ学生の身の少年少女たちに戦争を、殺しを強要させ、その者が弱ければ面子のために容易に切り捨て、始末・・いや、処分する。


そんな理不尽、そんな不条理、そんなものがあってたまるか。子供も大人も老人も、男でも女でも関係なく殺し、それを何とも思わない者に対する怒り、憎悪、呪い。


どんな世界でも幾度となく大虐殺は行われてきた。それが溜まりに溜まって出来たのが憤怒ノ魔眼である。


そうした背景があり、殺されるときに命乞いをし、それでも殺されそうになり、殺してやるという気持ちが昂まったレバードに宿ったのである。


三年間付きっきりの壮絶な修行が始まった今、レバードは憤怒ノ魔眼無しには物理的にも精神的にも生きていられないだろう。


これが終わったとき、彼がどうなっているのかは分からない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ