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出会い

これは、地球とは違う場所で高度な文明を誇った世界の学生達が突如異世界に呼ばれ、勇者として使われたことから始まる、最強と呼ばれた魔王の時代の話である。



************



「グァァあああ!」


「貴様のような無能を呼び出したと多くに広まれば我が聖光教会の看板に泥が付く。教皇様の命令だ。悪く思うなよ。レバード・マクロスよ」


そう言って、短剣が投げられる。脳のリミッターが外れた火事場の馬鹿力で何とか反応して、横にずれる。心臓は避けられたものの、肩に突き刺さる。


何で、俺は何もしてない。ただなんか別の世界に呼び出されて、そしたら無能だっただけだ。何も悪く無いのに。何でこんな痛い目に合わなきゃならないんだ!


「【操作】あああぁッ‼」


この世界に来た時に覚えていたスキル四つのうち一つを使う何かをする対したことのないスキル。魔力が少ないレバードが使っても、いや、誰が使っても微妙な代物。そしてレバートが無能と呼ばれる由縁。


この【操作】は神がもたらしたスキルの一つと呼ばれ、かつて神が全ての物を操ったと言われるが、神以外が使っても対したことはなく、精々魔法使用時に魔力を操作して効率を高める以外では用途がないスキル。


死に物狂いで、全ての魔力を注ぎ込み、地面の煉瓦を糸に変え、編み、布にしてせめてもの防具を作る。昔から、小手先の加工技には自信があった。出来たのは長さ的にマフラーと言えるであろうボロボロの代物。


何とか剣を防ぐが、押し倒される。


「辞めて、くれ」


無様に許しを乞い、願うことしか出来ない。情けなくて、憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い‼


「死ね」


剣が突き刺さる。想像を絶する程の激痛が体を襲う。血がどんどんと溢れ出す。これが自分の血だなんて信じられない。人間なんて滅びてしまえ。


あぁクソ、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね。


「ふん、全く人間、それも聖光教会のものは揃いも揃ってクズのようだな。この期に及んで同族で殺し合うとは。呆れたものよ。これだから戦乱は終わらぬのだ」

「そこを動くな。何者だ」


突如乱入した何者かに対して間髪入れずに聖光教会の神父が自分から剣を引き抜いて向ける。その殺気は俺を殺そうとしたときよりも強い。


「このオレに対して命令し、あまつさえ剣を向けるだと?・・・・無礼者め!貴様のようなグズ如きにその資格はない!今すぐ殺してやる」


その言葉の通り一瞬だった。言葉が発された直後にはもう、神父の首は落ちていた。少し遅れて神父の身体が崩れ落ち、切断面から鮮血が舞う。自分を殺そうとした奴が先に死ぬとは、実に愉快だ。


そう思うと同時に、ピキリと何が壊れたような気がしたが、もう死にゆく以上関係ないと思った。せめて奴を殺してくれたものに礼を言いたかった。


「あり、がどう、、ございます」

「ほぅ、下がるでも助けを求めるでもなく第一声が感謝とはな。きちんと礼儀がなっているではないか。面白い奴よ。ふむやはり人間も千差万別だな。おい人間。貴様は人間に、聖光教会に復讐したいか?」

「ああ」


その質問に最後の力を振り絞って肯定する。人間が憎い。俺を殺そうとした聖光教会は特に憎い。全員殺して滅ぼしてやりたい。そう考えると少し力が湧いてきたような気がする。


「ならばそのための力を、地位を授けよう。種族は悪魔になるが、まぁよかろう。せいぜい我が右腕として働くと良い。極回復光。種族転換・悪魔」



************



目覚めたときはあの時の人に抱えられていた。何故か空を飛んでいる。幻覚でも見ているのだろうか?しかし不思議と安心感の湧く御方だ。


「目覚めたか。状況を完結に説明する。このオレからの直々の説明だ。心して聞け。オレは三代目魔王にして最強たる存在、トイフレン・キング・ジギル・アーラーンだ。アーラーン陛下とでも呼べ。まず貴様を悪魔にした。我が国ではそちらの方が都合がいい。それに貴様は渇望した復讐の力を手に入れれる。一石二鳥とはまさにこのことよな。オレの天才ぶりを褒めても良いぞ」


「流石です」


「ほぅ、なかなかノリがいいではないか。益々気に入った。貴様の設定は我が親族だ。悪魔に変えた時にかなりの力を与えてやったのと、貴様に発現した憤怒ノ魔眼が有れば疑われまい。まぁそもそも、我が言葉を疑う愚か者など我が国にはおらんがな。まぁこのオレの親族たれることを感謝して光栄に思うが良い」


ステータスを開いてみる。

ーーーーー

レバード・マクロス→レバード・アーラーン


種族人間→悪魔


レベル10


力118→6800

体力125→7050

防御力100→6730

魔力85→7100

器用4300→7090

知力5290→7000


【操作】【声帯変化:声真似、音声創造】【思考加速】【並列思考】+【憤怒ノ魔眼:憤怒、威圧、感情蓄積、炎熱魔法、炎熱操作】【覚醒:限界突破、覇王、狂化、覚醒、真狂化】【完全記憶】

ーーーーー


ステータスは軒並み上がっている。スキルに関しては+以降は新しく発現したものだ。これもかなり増えている。というか種族ごと変わってる。


「ふむ、完全記憶に目覚めたか。それはオレを含めて世界に数人しかいない希少スキルだ。大切にせよ。それから、この憤怒ノ魔眼は面白いな。我が宵闇ノ魔眼に匹敵する素晴らしい魔眼だ」


憤怒ノ魔眼の権能はまず覚醒と似た全体強化効果の憤怒。威圧効果、これまで感じたあらゆる正負含む感情を蓄積し、エネルギーにする感情蓄積。炎系の魔法を使える炎熱魔法に炎を操作できる炎熱操作だ。


これが有れば、あいつらを殺すことだって不可能ではない。そう思うほど強い力を手に入れた。


これは最強魔王と最弱勇者が出会ってしまったが故に始まった数奇な物語である。

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