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これはハッピーエンドにしかならない王道ラブストーリー3 〜花咲姫と奔流王〜  作者: segakiyui
4.祈りの館

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2

「では、ガストは…」

「両親が亡くなったのが10歳、叔父に引き取られて、俺の側に来たのが12歳、だから色々捻くれているわけだ。腹に据えかねても許してやってくれ」

「…はい、陛下」

 アグレンシア元王妃が亡くなっていると偽り、あたかもレダンの元婚約者のような物言いをして、シャルンを試したことを遠回しに謝られたのだと気づいて、にっこり笑う。と、レダンがぷくっと頬を膨らませた。

「?」

「いや、2人で居るのに、他の男の話で微笑む妻と言うのは、如何なものかなと思ってな」

 不貞腐れながら、そろそろと怪しいところへ手を動かす。

「へ、陛下」

「夫婦の会話と言うものをしにくいなら、し易くしてやるのが夫の務めだろう?」

「あ、あのっ」

 優しく容赦ない指先が、昨夜の熱さを思い出せようとするのに、慌てて上から押さえつける。

「だめ? なぜ?」

「馬車の中でございます!」

「今夜も明日も『祈りの館』だ。聖なる場所故に、男女同室は王でもならぬと言い渡されている。交渉次第ではもっと滞在が長引く。なのに今、俺に我慢を強いると?」

「ドレスが乱れます!」

「着替えはある、ルッカも居る」

 汚れるのが前提か、とシャルンは真っ赤になる。

「陛下!…っん」

 叫びかけた唇をそっと覆われる。

「……もう」

「あなたが可愛いのが悪い」

 そっと離されて喘いでいると、恨めしげに詰られる。

「短い髪が誘惑的だよな。首に吸い付いて下さいと頼まれているようだぞ。旅支度はわかるが、しっかりあちこち止められていると剥ぎたくなるのは男の心情だ。足首もほら」

「あっ」

 いきなり足を持ち上げられてぎょっとする。

「こんなに華奢で、小花の飾りなど誰が工夫したのだ? 重罪にする」

 ちゅ、と音高く脚にキスされて全身熱くなった。

「ああ、でもあなたが助命を嘆願するなら許してやらんこともない」

 蕩けるように微笑みながら、シャルンを覗き込む。

「その薄赤く染まった唇で、俺を呼んで、許して下さいと願ってみてくれ。願い方が良ければ考えよう」

「お許し…下さい…っ」

 冗談だとわかってはいるが、時々レダンは箍が外れる。その際の容赦なさはよく知っているから、シャルンは必死に赦しを口にする。

「…そう来るか」

 覗き込んでいたレダンは突然茫然とした顔になった。

「堪らんな」

「はい?」

「ああもう、ここから帰るか、シャルン」

「はいっ?」

「四阿ならまだ床もあるし、支度もできてるし、うんいい考えだな」

「陛下っ!」

 今にも御者に言いつけそうに顔を振り上げたレダンを、シャルンは呼んだ。

「『祈りの館』には明日でもいいし」

「陛下!」

「だよなあ、なんなら先にガスト達を向かわせて」

「レダン!」

「…はい」

 名前を呼ばれてレダンは振り向く。驚いたように瞬く顔は薄く染り、熱に解れた髪が一筋垂れ落ちて、こちらもかなり蠱惑的だ。とろりと緩みそうになる体を引き締める。

「…私も、このまま抱きしめられていとうございます」

 恥ずかしさを押し殺してシャルンは訴えた。

「けれど、私がご一緒したばかりに、公務が蔑ろになったと噂されるのは、辛うございます」

「む」

「陛下は、私が愚かな王妃と謗られるのをお望みなのでしょうか」


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