駅で出会った男の子。
あなたは駅のホームで電車を待っています。
長いことあなたは電車を待っていました。
たまたま選んだ行き先でした。
上り線の電車を待っていました。
「裸足の男の子?」
一瞬、見間違いかと思いましたが、
五歳くらいの男の子が裸足でいます。
体が固まります。
落書き帳を持っている男の子。
見た目が少し怖いです。
手が長く、
異様な雰囲気です。
留守番中に不安になる感じがしました。
夜中に不安になる感じがしました。
近づいてきました。
片目を瞑っています。
首が長いです。
ニヤニヤしています。
気持ち悪いです。
手を出してきました。
「いったい何?」
まあるい石が入ってました。
数字が書いてあります。964……?
「もらっていいの?」とあなた。
「うん」と男の子。
少し気味悪いと思ったあなたでしたが、
断りづらい雰囲気だったので、
しかたなく受けとりました。
だけど。
よくあなたは考えるべきでした。
もっとよく、考えるべきでした。
嘘でも何とでも言って断ればよかったのに。
すぐに後悔することになるぞ。
グラグラと揺れる男の子の体。
「大丈夫か、きみ!」
ヨロヨロとよろける男の子。
ホームに倒れる男の子。
落下する石。
もうダメかもしれない。
怨みの声が聞こえる。
お前は男の子を助けようとする。
間に合わない。
永久歯が抜け落ちるように。
呪いを受けたかのように。
恨みの声が聞こえる。
死にたくなってくる。
ろくでもない人生。
逃げられない。
急いで男の子から離れた方がいい。
留守電を確認しろ。
よく考えろ。
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