表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やがて死にゆく雛鳥たちよ  作者: よしのん
1/1

感傷

たった一つの欲得。それさえあれば他には何も要らぬと思えるほどのあらゆる全てより大きな想い。

決して叶わぬとは思えど、諦めることのできない理想。

けれどもし、それに指先でも届かせるのとができるのならば悪魔の手でも借りてしまうだろう。

ああしかし、しかしだ。

叶わぬからこそ何よりそれは宝石のように貴い輝きを放つのではなかったか。

それを手にしてしまえばあらゆる景色は彩を失い、灰色に染まるのではないだろうか。

理想は胸に描くたびに、私の胸にはそのような恐れが浮かび上がってくるのだ。

けれどそれは何より馬鹿げた真にくだらない感傷だろう。

つまるところ己は手に入れてしまうことを恐れることで、そこへと一歩を踏み出さない理由を作り出しているのだ。

なんと愚かなことだろう。なんと無様なことだろう。

そんな体たらくではいっそのこと死んでしまったほうが良いだろう。

死ぬ気になれぬのならば必ず叶わない願いをぬるま湯につかるような心地で叶えたいと願うのは、流れ星に祈る童のような幼きものだ。

童のようにいつまでも甘えていることなどできないのだ。

どこまでも時というのは流れてゆき、流れるほどに己の願いは遠ざかるのだから。

ああ、ならばこそ今一度己は己の胸のうちをこそ明らかにしなければならない。それこそ、腸を1も残らずすべて取り出してしまうように。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ