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番外編 11

 アリスはレッドウルフの群れの中に飛び込むと、瞬時に3体の首を斬り落とした。魔物は小型魔核を残して消滅する。目にも留まらぬ太刀筋であった。


 本来、レッドウルフ相手に近接戦闘は分が悪い。高温を発する魔物を攻撃するたびに金属製の武器が熱を持ち、だんだんと手に持つことが出来なくなるからである。しかし流石は姫騎士ソードプリンセスの異名を持つアリス姫である。神速と称される太刀筋は、熱が伝わる暇さえ与えない。


 だがここで、思わぬ事態が発生する。


 過去に類を見ない程の密集状態の群れの中は、異常な程に気温が上昇していた。普段なら苦ともならない戦闘で、汗が吹き出し喉が渇く。20体ほど倒したあたりで、アリスはフワッとめまいに襲われた。倒れそうになるのを、たたらを踏んでなんとか堪える。


(腕が、痺れて…)


 鈍い痛みに襲われて、腕も思うように動かない。アリスは襲いくる複数のレッドウルフの姿を、ボヤける視界でスローモーションのように見ていた。


(ショウ…)


 その瞬間、無数の氷柱つららが目の前に降り注ぎ、レッドウルフの群れを刺し貫いていく。その一撃は致命傷であり、魔物は魔核を残して消滅する。不思議なことに、氷柱に倒された魔物の魔核は瞬時に何処かに消え失せた。


「大丈夫ですか?……あ!」


 右横方向から少女の声がアリスの耳に届いた。アリスがゆっくり声のした方に振り向くと、銀色の大きな獣に乗った少女が、黒いトンガリ帽子を目深に被り直し顔を逸らしていた。


「すぐに水分を補給してください。出来れば塩水がいいです」


 それだけ言い残し、少女を乗せた銀色の獣はバッと駆け出していった。


 ~~~


 アリスたちはレッドウルフの大群に押し込まれ、徐々に追い込まれていた。迂闊に群れに飛び込むことも出来ず、防戦一方になってしまったことが原因である。


(早く魔物を倒して、ショウの援護の態勢を作らなければ…)


 気持ちだけが焦ってしまう。


 そのとき突然、レッドウルフの群れの中に複数の大きな岩の刺が天に向かって突き出し、魔物の身体を刺し貫いた。続いて巨大な大戦鎚を構えた大柄な男が飛び込んでくると、岩の刺をまるでだるま落としのように真横から打ち砕いた。砕かれた岩石は無数の礫となり、レッドウルフを粉砕する。


「よく頑張った、ハニーたち。あとは任せろ」


 まるで背後に無数の薔薇を背負っているかのようなオーラをまとい、男が金色の前髪をかき上げた。


「アインザームさま!」


 オウマ領の茶髪と金髪おさげの二人の声が揃った。


(アインザーム!?彼があの、3適性の天才…)


 アリスは突然現れた援軍の正体に驚き、アインザームの姿を再度探した。


「キミのような強く美しい女性を見落としていたなんて、俺の目は節穴だったようだ」


「ヒッ!」


 急に耳元で声が響き、アリスは優に3メートルは飛び退いた。声の主はアインザームであった。


 アリスはみるみる表情を変えると、まるで汚物でも見るかのような視線をアインザームに向けた。


「どうやら噂は本当だったようですね、アインザーム」


「え…あ!?」


 アインザームはアリスの正体に気付き、蒼い顔になって姿勢を正した。


「ア、アリス姫…し、失礼しました!」

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