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番外編 9

 領内を南門から北の軍用門まで真っ直ぐに貫く大通りを、ショウとアリスは並んで歩いていた。おそらく商業の中心街なのだろう。多くの商店と人で賑わっている。


「賑やかですね、ショウ」


「そうだな。よく考えたら、こうして街に出るのも初めてのことだった」


 そのひと言にアリスの顔色がみるみる変わる。そんな彼女の表情に気付くと、ショウは隣を歩くアリスの頭をポンと撫でた。


「アリスは俺に気を使いすぎだ。言っただろ、今までの生活に不満はないって。これからは色々案内してくれるんだろ?」


 優しく微笑むショウの笑顔に、アリスはみるみる破顔する。


「は、はい!これからは、ふたりで色んなところに行きましょう!」


 その時突然、街中にサイレンがけたたましく鳴り響いた。


「見張り塔より入電!ボーダー連峰より多数の魔物が出現。さらにその魔物を追うように…り、竜が現れました!」


 サイレンに続き、スピーカーから緊急放送が入る。


「コチラでも、竜を確認。魔物を追い抜き、まもなく到着します!」


「り、竜!?まさか、火竜か!」


 ショウの表情が厳しい色に変わる。直ぐさまスマホを操作すると、聖騎士のスキルを発動させる。


 腰に差してた片手剣が瞬時に「白銀の剣」に入れ替わり、左腕に楕円形の「白銀の盾」が装着される。それから真っ白な「回雪のマント」が背中でバサッとひるがえった。


「先行する!アリスは後から来てくれ」


「シ…ショウ、一人では危険です!」


「一人ではないさ、向こうには衛兵がいるんだろ?」


「とはいえ若手です、どこまで戦えるか…」


「なんとかする!このままではこの街も危ない」


「それは、そうですが…」


「時間が惜しい、俺は行くぞ!」


 言うが早いか、ショウは駆け出し跳躍した。そのまま何もない空中をパッパッと跳ね、みるみるうちに外壁の向こうへ消えた。


「ショウ、無茶はしないで!」


 アリスはショウの後を必死に追いかけていった。


 ~~~


 ショウが外壁の上に辿り着いたとき、演習場に竜の姿が既にあった。そしてその瞬間、竜がブレスを噴いた。犠牲者が出たかもしれない。「ギリッ」と歯を鳴らし、竜の姿を睨みつける。


 その時ふと、横から物音が聞こえてきたのでソチラに振り向くと、二台の砲台のようなモノのそばで複数の衛兵が作業をしていた。


(コレは!)


 ショウはハッと思い出した。王宮にも似たようなモノがある。確か、魔砲台だ!


 魔砲台とは凝縮した魔力の塊を撃ち出す大型魔法道具である。着弾点では純粋な魔力が炸裂するため、属性効果はないが属性防御も意味がない。いわゆる無属性であり、基本的には何にでもダメージを与えることが出来る。砲弾ではないので弾の装填は必要ないが、自然充填インターバルでは時間がかかり過ぎるため、魔術士による強制充填チャージが基本となる。


 ショウは魔砲台のそばに駆け寄ると、一番近くにいた作業中の衛兵の男に声をかけた。


「コレ、魔砲台だよな、すぐに撃てるのか?」

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