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番外編 7

「すまないがカミラ、バラスを捕らえた経緯を教えてくれ」


 ショウはカミラに質問した。当の本人がこの場にいないのは残念だが、カミラがここにいる理由は代理の役目を果たすためだろう。


「はい、ユイナの報告によりますと…」


 ユイナの報告によると、自分が駆けつけたときには既に警備隊の同僚三人が負傷しており、その場に居合わせた一般の治癒術士に応急処置を依頼。その後、賊はさらに一般人を負傷させたがユイナ所有の凍結杖にて捕縛に成功。負傷した一般人も治癒術士の協力により一命を取り留めた、とのこと。


「魔法道具で全身を氷漬けにしたのですか?」


 アリスは「信じられない」という顔をする。一般的に魔法道具は本家の魔法より効果は劣る。全身を凍らすなど、にわかには信じられない話である。


「最後の一般人の負傷は、彼女の目前で起きています。感情の爆発に魔核が反応したのだろうと推測しています」


「そんなことが…」


 しかし無いとは言い切れない。魔法自体にも、感情の起伏やバイオリズムなどにより、効果に多少の差が出ることがある。魔核にそれが絶対起こり得ないとは言い切れないのだ。


「だがそもそも、居場所の分からない相手をどうやって凍らせたのだ?」


 ショウが疑問を口にする。


「そこはユイナの推論ですが、魔法道具を持つような自分に油断したため隠密を使っていなかったのではないか…ということです」


「なるほど…」


 少々強引だが、一応筋は通っている。しかしショウが感じたバラスの印象では、油断は大いにするだろうが、隠密をわざわざ解除するとは思えない。


(眼鏡の女…か)


 ショウは「ククッ」と笑った。行く先々で秘密の匂いがしてやがる。なんなんだろうな、これは…


 ~~~


「若手の合同演習か…」


 用件を済ませたアリスとショウは王都に戻り、王宮の廊下を並んで歩いていた。


「気になりますか?」


「ん、ああ。正直俺はアリス以外の騎士の実力は、ほとんど知らないからな」


「そういえば、そうですね…」


 言い換えれば、アリスは殆どの時間をショウと過ごしていたことになる。少し私情が入っていたことは否めない。


 もしかして、束縛の強い女と思われただろうか…アリスの顔から、サァーと血の気が引いていく。


「もしかして、ご迷惑でしたか?」


「どういう意味だ?」


「あ、いえ、もっと他の者との時間を作るべきだったのかもしれないと思って…」


 アリスの声はゴニョゴニと尻すぼみになっていく。そんな彼女を愛おしそうに見つめながら、ショウは右横を歩くアリスの頭をポンと撫でた。


「いいや、全然。俺はお前といられる時間が一番嬉しい」


 その言葉に、アリスは頬を真っ赤に染めながらショウを見上げた。


「私も、ショウといられる時間が一番幸せです!」


 そう言ってアリスは、誰にも見せたことのない笑顔で笑うのだった。

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