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番外編 5

「ま、待ってくれ。冗談だよ、冗談!」


 突然声がしたかと思うと、身長80センチメートル程の緑色の皮膚の男が姿を現した。


「冗談で死ぬことになるとは、つまらない事をしたな」


 ショウの殺気は全く鎮まる気配がない。


「お、おい、まさか、冗談…だろ?」


 バラス(緑男の名)はガシャガシャと足枷を鳴らしながら、牢屋の奥へと避難した。


「聖騎士殿、落ち着け!」


 レイナードが羽交い締めでショウの動きを止める。


「姫さま、アンタも今すぐ手を洗ってこい!この奥に洗面台がある」


「は、はい!」


 ショウの変貌ぶりに我を取り戻していたアリスは、レイナードの助言どおりに奥へ走って行った。


「離せ!コイツ今すぐコロス!」


 暴れるショウを抑えるのは、体格に勝るレイナードの力を持ってしても至難の業であった。


「ひ、姫さま、早く戻ってきてくれ!」


 ~~~


「取り乱してすまなかった」

「私も軽率な行動でした。すみません」


 ショウとアリスがレイナードに揃って頭を下げた。


「あ、ああ、もういいわい」


 勇者と姫君に頭を下げられ、レイナードはどう対応して良いのか分からなかった。


「ショウ」


 アリスは横に立つショウの小指をチョンと摘む。


「私のために怒ってくれたこと、とても嬉しく思います」


 アリスが真っ赤な顔をショウに向けた。


「ついカッとなって…さすがにやり過ぎた。反省している」


 ショウは恥ずかしそうに顔を伏せた。


「ふたりの仲が良いのは分かったから、話を進めても構わないか?」


 レイナードが呆れたように声を出した。


「ああ、頼む」


 ショウが表情を改める。


「まあ、今見たとおり、隠密スキル持ちの敵性勇者だ。感知のスキル持ちでも、朧げにしか把握出来ない。まあ、聖騎士殿の感知スキルは、我が衛兵より優秀なようだがな」


「何故、スマホを取り上げない?」


 ショウがレイナードに厳しい視線を向ける。


「俺のは、お前らのような旧時代の端末とは訳が違うからだよ」


 バラスが牢の奥で、ふん反り返るように座りながら声を出した。


「どういう意味だ?」


 ショウがバラスを睨みつける。男は返答の代わりに何もない空中を、下から上に左手でスワイプした。すると、まるで引き出されたかのように、シュッと画面が出現する。


 ショウは目を見張った。まるで漫画の世界の技術のようだ。


「なるほど、理解した」


「ところで、こんな見えない相手をどうやって捕らえたのですか?感知スキルでも、ハッキリとは追えないのですよね?」


 アリスは自身が目の当たりにした疑問を口にした。


「それなんだがな…」


「銀色の仔犬を連れた、黒帽子被った眼鏡の女にやられたんだよ!」


 バラスが怨みがましく吐き捨てた。

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