表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/165

番外編 4

「ここがシシーオ領か、王都並みにデカいな」


 ショウはシシーオ家の宮殿の応接室の窓から領内の景色を眺めていた。


「シシーオ家はキーリン家に次ぐ名家ですからね。実質軍事力のみなら、こちらの方が上かもしれません」


「例の捕縛劇は、その強力な軍事力を持ってしての結果という訳か」


 ショウがアリスの方に視線を向けた。


 アリスも後からショウの横に並ぶと、領内を見渡した。柔らかな風が窓から吹き込み、アリスの銀色のボブヘアーを優しく揺らす。右耳にかかった髪をかきあげるアリスの仕草を見て、ショウは思わずドキリとした。


 そんなショウの視線に気付くと、アリスは頬を赤らめて俯いた。


「そんなに見られたら、照れてしまいます」


「ああ、悪い」


 ショウは無意識にアリスを見つめていたことを知らされ、直ぐさま視線を外した。


「見られたらイヤという意味ではないのですよ。これからココの当主と会うのに、あまり締まりのない顔ではいけませんので…」


「そうだな、気をつけるよ」


 ショウは火照った顔を冷ますために、再び視線を窓の外に向けた。


「あの姫騎士ソードプリンセスがそんな表情をなさるとは、珍しいモノが見れたわい」


 いつのまにか、ひとりの男性が部屋に立っていた。


 日に焼けた褐色の肌に、焦茶色の頭髪はオールバックに固められている。両方のこめかみからアゴを経由して繋がる茶色のヒゲが、彼のワイルドさを一層醸し出していた。シシーオの軍服である銀ボタンの黒い詰襟を、第二ボタンまで外してラフに着こなす40代の男性である。


 シシーオ家の当主「レイナード=シシーオ」その人であった。


 ~~~


 ショウとアリスはレイナードの案内で、地下の収容施設に移動した。ここに、捕らえた「敵性勇者」がいるらしい。


 しかし案内された牢獄は、もぬけの殻であった。


「こ、これはまさか、逃げられたのですか?」


 アリスは焦って狼狽する。


「またか…」


 レイナードがヤレヤレという風に頭を抱える。


「どういうことだ?」


 ショウがレイナードに視線を向けた。


「そこに牢内の中心から繋がっている鎖の足枷が見えるだろ?おそらくヤツは、我々の目の前にいる」


 レイナードが檻のすぐ下にある足枷を指差した。


「ええ?」


 アリスが檻に手を掛け中を確認する。その瞬間、何かに手を撫でられ「ヒッ」と手を引っ込めた。咄嗟に手を確認すると、何やら透明な粘液のようなモノが付着していた。


 ま、まさか…唾液?顔面蒼白になり、背中に凄まじい悪寒が走る。


「ふ…ふえーーん」


 アリスがヘナヘナとへたり込み、弱々しく泣き始めた。盛大に気が動転しているようだ。


 ショウがスマホのマップ機能を確認しながら腰の片手剣を抜いた。確かに目の前に、生命反応がひとつ表示されている。


「確かにいるな。ここか?」


 ショウは檻越しに、剣を突き刺す姿勢に入る。完全に目が据わっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ