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 私たちはユイナの馬車に乗せてもらったまま、検問を通過した。シシーオ家の家紋のある馬車に乗っているというだけで、大した検査もなく、ほぼ素通り状態だった。シシーオ家の権威の強さがよく分かる。


 演習の施設は、街を通り抜けて北側にある軍用門から出た先にあるらしくて、もう少しユイナの馬車に同行することになった。


「ところでさ、『凍結杖』てどんな能力なの?」


 ユイナのフトコロを痛めつけた責任の一端が私たちにあるのなら、興味のあるフリくらいはしておかなければならない。


「そうですね…」


 ユイナの話によると、ごく短時間だけど相手を凍結させることが出来るみたいだ。ただ、サトコ(ギン)がやったみたいに全身を凍らせるなんてホントは無理で、腕一本とか足一本とかが限度なんだとか。


 どう考えても辻褄が合わないんだけど、カミラさんが強引に納得させたみたい。


 賊は「眼鏡の女にヤラレタ!」と喚いていたらしいけど、半ば錯乱状態であったため真剣には取り扱われなかったそうだ。


 その話が出たとこでサトコが顔を赤らめて、焦ったように俯いたのがちょっと面白かった。どうやら自分の仕出かしたことをしっかり覚えているようだ。


「ただ、私の魔法と凍結杖が合ってたみたいで、最近とても調子が良いんです」


 ユイナが小さくガッツポーズをしてみせた。


「ユイナさんは、どんな魔法を使うんですか?」


 ルーが興味を持ったらしく、ユイナに質問した。


「私はね『脚力強化』が使えるの。凍結の効果は短いけど、僅かな時間で間合いを詰められる私の魔法とは相性がいいみたい」


「ユイナも強化術士なんだ。私と一緒!」


 この10日間、自分の「職業クラス」についてボロが出ないように、皆んなでシミュレーションしてきた甲斐があった。ちゃんと上手く対応出来たと思う。


「あれ…?ハルカさん、そうでした?」


「うん、そう。私、防護魔法」


「そうだったかなぁ?」


 ユイナは首を傾げる。


「なんか収納魔法がどうとか…違ったかな?」


 は?収納魔法?ユイナは何を言ってるんだ?


 ん?あれ…待てよ。


 あーっ、言った、言ったわ!純白のローブに着替えたときに確かに言った。うわっ、コレやばいかも?


「覚え違いじゃないですか?空間術士と言えば、ケータお兄ちゃんですよ」


 ルーが話の矛先をケータに向けた。あまりに突然のことで、ケータは面食らって椅子からずり落ちそうになった。


「え?ケータさん、空間術士なんですか?」


 ユイナが喰いついた。ルーが両手を合わせて何度もケータに頭を下げている。元はと言えば私のせいだからルーは何も悪くない。もちろんケータもソレは分かってると思うけど、ルーを責めないであげて。


「スゴいじゃないですかー!」


「そ、そうかな?あ、でも、収納魔法とかは無理だよ?浮遊魔法だけ」


「そ、それでも充分ですよ!シシーオ家の衛兵にも、そんなに何人も居ませんよ!」


「そ、そうなんだ…」


 ケータは冷や汗をかきながら「アハハ」と笑った。完全に話題がすり替わった。ユイナ、あんたチョロすぎるよ。今回()それで助かったけども…


「それで、サトコさんは?」


 興奮冷めやらぬ中、ユイナはサトコに顔を向けた。


「わ…私、獣魔使い…」


 サトコは膝の上のギンを撫でながらボソリと言った。


「え?」


 ユイナはサトコに聞き返した。


「だから、獣魔使いっ!」


 サトコは声を張り上げた。サトコの告白を受けてユイナは自分の耳を疑ったような顔になる。


「い、いえ、でも確かに…。思い返してみれば、そうとしか思えませんが…」


 ひとりで呟く。


「ちょっと失礼します」


 ユイナは立ち上がると窓から顔を外に出した。


「ウソでしょーーー!」


 ユイナの叫びが馬車の外に木霊した。

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