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「ちちち、ちょっと!なに勝手に『お兄ちゃん』とか呼んでるのよ!」


 私は思わず叫んでいた。ルーとかいうこの少女、図々しいにも程がある。


「ケータには正真正銘、私という…」


 そこまで言って、私はハッと気付いた。私は今、何を言うつもりだったの?「妹」という立場が嫌で、そこから抜け出すために今まで努力をしてきたんじゃないの?それなのに、今ここで私自ら「妹」だと宣言するの?


「なに?」


 ルーがこちらを見ながら首を傾げる。


 私は次の言葉に詰まってしまった。


「ケータお兄ちゃん、この人たちは?」


「あ、ああ、ハルカとサトコ。ハルカはボクの妹で、サトコはクラスメイトだ」


 あー、結局ケータに「妹」扱いされてしまった。しかしサトコも「クラスメイト」扱いされたんだから、ここは痛み分けかな。案の定、サトコも複雑な顔をしている。


「ふーん、妹…」


 その時ルーが、私に挑発的な視線を向ける。同時に私は、カミナリに撃たれたような衝撃を受けた。


 これはマズイ!ケータに最も来て欲しく無かったものが来てしまったんじゃなかろうか。


 あらゆる行動が全て、モテに繋がるという、あの伝説の…


「ケータお兄ちゃん、助けてもらったお礼がしたいの」


 ルーがピタッとケータの左腕にすり寄った。


『モテ期』キター!


 あろう事か、ロリ美少女に「兄」と慕われる始末。しかも厄介なことに、図々しくも「妹」の座を狙っているこの少女のことが、私は許せないのだ。


 あれほど手放したかった「妹」の称号を、いざ誰かに奪われそうになると、悔しい気持ちになった。絶対イヤだと思った。


 なんなんだ、私は!一体何がしたいんだ!


「ハルカって、めんどくさいね」


 私の気持ちを見透かしたように、サトコが溜め息をついた。


 ウッセー、ウッセー!私だって自分で戸惑ってるんだから、そんなストレートに言われたら泣くぞ!


 そんな私の心の内面をよそに、私のスマホが「ピロリン」と鳴った。


 ~~~


『アプリをダウンロード出来ます』と、私のスマホにインフォメーションが表示される。


「新しいアプリがダウンロード出来るみたい」


 私は皆んなに報告した。


「おお!やってみろよ」


 ケータが目を輝かせた。私は画面に表示されている「OK」アイコンをタップした。すると「ピコン」と音がして、「トートバッグ」と表示されたアイコンが増えた。


 それから私は皆んなに画面を見せながら、バッグのアイコンをタップしてみた。すると「獲得したアイテムを一括で回収しますか?」とインフォメーションが出てきた。私は「OK」を選択する。


 ピコン、ピコンと二回音がして、スマホの画面に「魔核(中)」「灰鬼の棍棒」と表示が出てきた。


「おおっ!戦利品を回収したのか!」


 ケータの驚いた声が響く。


 続いて画面に「次からは自動で回収しますか?」とインフォメーションが表示された。


「うおおおっ!これスゲー!」


 ケータの声が感動で震える。私は嬉しくなって、迷わず「OK」を選択した。


 そこでルーが、マジマジと私を見てきた。


「コレ、魔法道具なの?」


「え?た、たぶん」


「ふーん、初めて見る」


 考えてみたら、当たり前か。こんなファンタジーな世界にスマホなんて技術の結晶は、さすがにないよね。私は得意げな顔をした。そんな私を見て、ルーが少し不機嫌になった。


「そんなことより、ケータお兄ちゃん」


 そんなこと?私の頬がピクリと引きつった。


「お礼がしたいので、ファナさまに会ってほしいの!」

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