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「竜鬼兵を起動させるだと?馬鹿なことは止めなさい。そんな事をすれば父さんたちが死んでしまうのだぞ!」


 男が焦ったようにカズヤを怒鳴りつけた。


「大丈夫だって。死んでもセーブポイントに戻るだけだって教えてくれたのはお父さんたちだよ、忘れちゃったの?」


「カズ…!?」


 その瞬間、檻の底が抜けて男たちが黒い箱の上に落とされた。箱の上には巨大な剣山のようなモノがあり、3人全員が一瞬で串刺しにされた。


「ひっ!?」


 ハルカとサトコが抱き合うようにして顔を背ける。この呆気ない出来事に、ボクもただ呆然と眺めていることしか出来なかった。


「おい」


 そんな中、ショウがカズヤを呼びかけた。


「俺たちを助けたいってどういう意味だ?」


「そのままの意味だよ」


 カズヤが無邪気に笑った。この無邪気さが逆に怖くなってきた気がする。


勇者ぼくに殺された異世界人は悪の呪縛から解放されるんだ。だから…」


 言いながらカズヤは、観音開きになってる黒い箱の扉を両手で開いた。中は巨大剣山から滴る大量の血液で大変なことになっていた。


「ここで殺して洗脳を解いてあげる。そうすれば、セーブポイントに戻った後も大丈夫だってお父さんたちが教えてくれたから」


「セーブポイントったってなー…」


 ショウがゲンナリしながら口を開いたとき、箱の中から緑色に輝く魔法陣が浮かび上がり「のそり」と人型の何かが歩み出てきた。


 竜の顔をした、銅像のような銀藍色の人形だった。カズヤの言葉から推測するに、これが「竜鬼兵」なのだろう。


「そんな…、あれはミスリルゴーレム!」


 アリスの顔が真っ青になった。


「ミスリルゴーレム?」


 ショウがアリスに確認するが、アリスは蒼い顔で震えているだけだった。


「本で読んだことがあります!」


 代わりにルーが声をあげる。


「人間の魂を封じ込めた魔導の兵器です。勇者召喚と同じく今や禁忌の呪法のハズです」


「コレは特別製だよ。たまたま竜の魂を手に入れることが出来たからね」


 カズヤが楽しそうに笑った。


「さあ、隠密を付与してあげる。思いっきり暴れてくるんだ」


「!?」


 カズヤが竜鬼兵に右手で触れると、途端に認識出来なくなった。次の瞬間「ガギン」と硬いモノがぶつかる音がする。


 音のした方に振り向くと、アリスの真後ろにいた竜鬼兵の鉄拳をハルカの結界が防いでいた。


「きゃあ!」


 遅れてアリスが、悲鳴をあげながら後退った。


 いつのまにかボクたちにも結界が施されていた。


「もう慣れてんのよ、この展開は!」


 ハルカが両手を広げながら、声高らかに宣言した。ちょっとこの娘、すんげーカッコいいんだけど!


「そっか、聖女のお姉ちゃんがいたんだった」


 カズヤは自分の頭を「コツン」と小突くと、グローブのような小手を付けた左手を前に突き出した。そして何かを掴むように「ギュッ」と握りしめる。


 すると小手を中心に両サイドに細長い光が伸びていき、いつのまにか長さが2メートルを超える黒く大きな鎌が握られていた。


「アレは…」


 ハルカが息を飲むのが分かった。そして、ボクらの中でも記憶に新しい武器だった。


「やっぱり武器は、ベル姉ちゃんのに限るよね」


 カズヤはその黒い鎌を空中に放り投げた。竜鬼兵はそれを空中でキャッチすると、そのまま認識の外に姿を眩ます。


「ヤバイヤバイ…」


 ハルカが突然慌ただしくなったかと思うと、至るところで「パリンパリン」と結界の砕ける音が連続して鳴り響く。


 ボクの頭の上でも乾いた音がしたかと思うと、もう違う所で音がする。


「ケータ、助けて!間に合わなくなる!」


 ハルカが涙声で訴えてきた。


 そんなコト言われても、こんなの一体どーすりゃいいんだ?

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― 新着の感想 ―
[良い点] サボりながら読み進めていますが…… まさにラスボスにふさわしい狂気……サイコパスキャラがここまでよく仕上がってるのは尊敬します。 終わってしまうのが悲しいし、色んな今までとは違う心情で読…
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