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 真中聡子は手元に残ってるステッカーを収納するため、スキルのアプリを終了させた。すると何かに気付いたように、ボクにスマホを見せてきた。


「見て、アイコンが増えてる」


「ホントだ」


 ボクが真中聡子のスマホの画面を確認すると「マイルーム」と表示されたアイコンが増えていた。ちなみにステッカーのアイコンは枚数が2枚に減っている。さりげに芸が細かい。


「開いてみていい?」


 真中聡子がボクに確認してきた。ホント、いちいち可愛いな!


「う、うん。じゃないと分からないからな」


「だよね。いくよ」


 真中聡子はボクにもスマホの画面が見えるように手に持つと「マイルーム」のアイコンをタップした。


 すると画面に3個のスロットが表示され、一番上に「カリュー」の名前が入っていた。それから「カリュー」の名前の横にある「収納」のアイコンに気が付いた。まさか収納出来るのか?


「新島くん、これって…」


「だったら、スゴイな」


 ボクと真中聡子は頷き合った。


「カリュー、収納を試してみてもいい?」


 真中聡子はカリューに伺いを立てる。


「問題ない。サトコの思うままに」


 カリューはこうべを垂れた。


 真中聡子は「収納」アイコンをタップした。すると画面にインフォメーションが表示される。


『お供キャラは収納することで「食事」「休息」「回復」を自動で行います』


 な、なんですとーー!つまり、維持費ゼロかよ!このスキル、優秀すぎる。


 真中聡子は文章の最後に表示されていた「OK」アイコンをタップした。その瞬間、カリューの姿がフッと消えた。ボクたちがスマホの画面を確認すると、カリューの横のアイコンが「呼出」に変わっていた。


 ~~~


「どうやらボクたちは、さっきの人たちに良く思われてないみたいだな」


 ボクは辛い現実を口にした。真中聡子も薄々勘付いていたのか、黙って俯いてしまう。


「もっと大変かもだけど、あの洋館に戻らずに、このまま何処かに行ってみない?」


「え?」


 真中聡子は顔を上げると、驚いた顔をした。


「あ、嫌ならいいんだ。どう考えても無謀だから」


「………いよ」


「え?ごめん、よく聞こえなかった」


 ボクは真中聡子の声が聞き取れなかった。


「イヤじゃ…ないよ」


 真中聡子は顔を真っ赤にしながら、消え入りそうな声で言った。


 真中聡子の恥ずかしそうな態度を見ながら、ボクは自分の発言の重大さに今更ながら気が付いた。なんて大胆なことを言ってしまったんだ。穴があったら入りたい。


「え、あ、ありがとう…。あの、絶対変なことはしないから…」


 ボクは火が出そうなくらい顔が熱くなった。


「そ、そうだね…。変なことにならないようにしないとね」


 真中聡子も顔を伏せたまま、それだけ言った。


「あ、でも、春香と翔だけには、ボクらが生きてると伝えときたいんだ。心配するだろーから」


「え…?」


 急に真中聡子の声のトーンが素に戻った。顔は伏せたままなので表情までは確認出来ない。それからパッと顔を上げて、ボクに笑顔を見せた。


「そうだよね、妹さんだもんね!」


「あ、うん」


 なんだか、不思議な威圧感があった。


「だけど、条件があります」


「え、条件?」


「私のことは、『サトコ』と呼んでください」


「急に何?真中さん…」


 ボクはたじろいだ。


「サトコ」


 真中聡子は笑顔を崩さず、ボクを見ている。なのに何だ?この威圧感は…


「サ、サトコ…さん」


「サトコ!」


「サ、サトコ…」


「うん。これからもよろしくね、ケータくん」


 サトコはにっこり微笑んだ。

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