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ねぇ、神さま、あたいをさらってくれないか?

作者: 秋葉竹



悲しみの蛇が

竹藪を通り抜け

私の家に

やって来るのは、

もう、

決まっているんだ


夜更け、

まだ朝まで遠い時間

すぐにでもあの人に

逢いたかったけれど

逢えないと知っているリビングで

私は、

まだ眠らすに

テレビを見ている

いや、

見てはいない

ただ、

流れる画面を

眺めている


悲しみの蛇が

竹藪を通り抜け

私の家に

やって来るのは、

もう、

決まっているんだ


すると私は

あの人のことを

諦めてしまうのかもしれないね

こんなにいっぱいの

好きって気持ちはそのままに

あの人のこと

もう、

諦めてしまわなければ

ならなくなるのかも

しれないね


私の

いちばん純粋な

心の柔らかなところを

あの蛇に

噛みつかれたら

もう、

私の純白は

汚れてしまうかもしれないし、

もう、

私はあの人のこと

好きでいてはいけなくなると思うんだ


あの人、

間に合わないや、

いつも、そう。


かんじんなとき、

いつも遅刻して

私のこと

怒らせたり、

悲しませたり、

泣かせたり、


そんな人だった



悲しみの蛇が

竹藪を通り抜け

私の家に

やって来るのは、

もう、

決まっているんだ


それを私は

まるで未来をこの目で見てきたように

なぜか心を濡らして、

待っている

という不思議


まるで未来をこの目で見てきたような

まるでそのままそうするしかないと

諦めきったような

小さな絶望を受け入れ、


あと少しの、

これっぽっちの

あの人からの奇跡の言葉を

忘れられない懐かしい思い出とともに

ちょっとだけね、

ほんのちょっとだけ、

どうしても待ってしまうんだ


未来を知りながら


それでも、

ちょっと、

ほんの

ちょっとだけ、夢みて、しまうんだ

ないんだとは、頭ではわかっているのに

どうしても、


どうしても………



それで、最後の

手段に、すがるか?


ハッ!



アハハ、

困ったときの

神だのみ、ってね?


それは、やっぱり、

こんなふう?


ねぇ、アンタァ、

あたいを、さらって、くれないかぁ?





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