急速な成長
ダイアンの手招きに、クロエは怪訝な顔をしながらダイアンの方に向かった。ダイアンは医務室を出ると、後ろを振り返らずにしばらく廊下を歩いた。少し開けたところでダイアンは立ち止まると、深く頭を下げた。
「今回、お前が傷を負ったのは俺の指導不足だ。済まない。」
いきなり自分に向けられた丁寧な謝罪にクロエは焦った。
「そんなに気にしてないわよ!むしろ、謝るのは私の方よ。いきなり、戦闘に参加したいって言ったから・・・。」
「その事もあるが、お前にもっと早めに銃の使い方を教えていればよかった。だからクロエ、傷が癒えたらナックに銃の使い方を教わってくれ。銃に関しては俺よりアイツの方がレベルが高い。」
「ダイアンはもう何も教えてくれないの?」
「ナックに一通り教わったら基礎の動きの派生技を教えるさ。簡単だけど、威力の高いヤツをな。」
「その日を楽しみにしてるわ!」
「せいぜいがんばれよ。」
クロエはナックを探し、見つけると教えを乞うた。
「ナック、お願い!傷が癒えたらでいいの。私に銃の使い方を教えて!」
「わかったよ。でも最低でも3日程安静にしてろとパメラに言われたから、4日後から教える。」
「ありがとう、ナック!」
4日後の朝から訓練は始まった。常人なら1ヵ月以上かかるメニューをクロエは4週間でこなし、ダイアンの指導を受けた。ダイアンが前よりも懇切丁寧に教えたこともあるが、基礎が早めに固まったクロエはリップオフを相手にしても問題ないくらいの戦闘能力を手に入れた。午後のトレーニングを終えたダイアンは汗を拭いているクロエに声をかけた。
「この1ヵ月の訓練をよくこなしたな。ひとまずは仮免許皆伝ってところだ。今のお前なら、リップオフを相手するのも問題ない。」
「これでもう、誰の足も引っぱることないのね。」
「後はお前の心しだいだ。リップオフを見ても、焦らず冷静になれ。練習の成果と自分の技を信じろ。」
「わかった。でも、もし失敗したら・・・」
悲壮を漂わせて震える声で心配するクロエを見たダイアンは手を取ってしっかりと握った。
「その時は俺を信じてくれ。絶対にお前の命を奪らせやしない。」
そう言ってダイアンに吸い込まれそうなくらいの屈託のない優しい瞳で見つめられたクロエは、顔の火照りを感じて慌ててダイアンから目を背けた。それを見てクロエは手を握られるのを嫌がったと勘違いしたダイアンは慌てて手を放した。謝ろうとしたダイアンの言葉を遮る様に、無線に連絡が入った。




