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American Dianthus  作者: nacchan725
気になる人は魅力の権化
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嵐の前のさざ波

こんにちは、nacchan725です。占ツクで現在進行形で活動してます。こちらの方がかなりクオリティの高い小説があると伺ったので恥ずかしながら挑戦してみました。占ツクでも同じ名前で活動してるので良かったら遊びに来てください(^∇^)

 

 2020年:7月7日:午前7時7分37秒。

 日本は滅亡した。

 突如として、東京の上空から謎の衝撃波が広がり、人、物、建築物が石化し、大地、自然が灰の山となった。原因は怪物の侵略攻撃によるものだった。

世界各国は日本から距離を置き、侵略者の恐怖に怯えた。そんな中、アメリカにはとある噂が流れ出した。

 “訳のわからないことを言いながら怪物を襲いまくっている人間も怪物も恐れるニッポンの亡霊がいる”と。

 アメリカのとある街のとあるカフェにて、人々は日常と平和を謳歌していた。しかし、そのカフェのテラスの反対側にあたるビルの屋上には、人々の日常を送れているという平和を壊し、恐怖のどん底に突き落としてやろうと考えている男たちがいた。

だが、その不埒な輩どもを退治してやろうと考える者もいた。その青年はカフェのテラスからスコープで男たちに狙いを定めていた。

「馬鹿なヤツらだ。今日が自分たちの命日になるってのに。」

 青年はそう言ってからほくそ笑んだ。そして、近くにいたウェイトレスにコーヒーとシンプルな味のワッフルを注文し、その人物は、“スナイパー”から“ただの客”になった。



クロエは今日もカフェのバイトをこなしていた。いつものようにオーダーの対応をし、レジの接客や料理やドリンクを運んだ。料理を運び終えて厨房に行こうとすると、ガラの悪そうな男たち数名に呼び止められた。

「なぁアンタ、“ニッポンの亡霊”についてどう思ってるんだ?」

 男たちはスマートフォンで新聞を読んでいたらしく、見出しには大きな文字で“ニッポンの亡霊、また出現”と書かれていた。クロエは正直“ニッポンの亡霊”について憐れに思っていたので、素直に感想を述べた。

「そうですね。可哀想だと思っています。故国を失い、復讐するには相手が悪過ぎる相手と戦わなくてはいけないんですから。」

 そう言ってから立ち去ろうとすると、

「もっと相手してくれよ。ウェイトレスなんだろ?」

 そう言うなり、男はクロエの腕を引っ張って寄せてきた。クロエは思わず大声をあげた。

「止めて下さい!!」

クロエは掴まれた腕に力を入れて剥がそうともがいたが、男の腕力には敵わず、一気に吐息がかかる距離まで近づかせられて顔を背けた。客はほとんど知らんぷりか、近づこうとしてるのか、男の死角でモゾモゾ動いてる客が何人かいたが、男の仲間にすごまれると、いそいそと戻るか動きを止めてしまった。

男が悪態をつきながら腕を伸ばしてクロエの肩に触ろうとすると、どこからか別の腕が伸びてきてその手を掴んだ。それは、タイトな黒いミリタリージャケットに身を包んだ青年の腕だった。

「止めろって言ってんだから止めてやれよ。」

 クロエはこの客の危険を案じて止めた。

「何やってるんですか!?危ないですよ!!」

すると、青年はクロエの目を見つめると、穏やかな笑顔を見せた。

「心配してくれてんのか?大丈夫だ。俺は強いから。」

男たちは青年をじわじわ取り囲みながら大声で脅した。

「ふざけんな!カッコつけてんじゃねぇよ!」

「大勢の前で恥かかせようぜ。」

青年は臆することなく男たちを一瞥してさらっと言い放った。

「そりゃこっちのセリフだよ。会計してとっとと出てけ。近所迷惑だ。」

その言葉を皮きりに、ケンカが始まった。

誰もが割って入った客が男たちにリンチされると思ったが、逆に男たちはその客に、ほとんど投げられるか、関節技を入れられるか、転ばさられるしかされなかった。

「お前らみたいなヤツでも、殴ったら警察の厄介になるし、店もグチャグチャになるから、殴らないって決めてたんだよ。これでわかっただろ?俺はその気になればいつでも殴れるんだ。それでも、まだ物足りないって言うなら、本気を味わせてやるけど?」

青年の鋭い目つきと、殺気をはらんだ最後の言葉に、男たちは戦意喪失して店を出て行った。見ていた客たちは青年に拍手喝采を送り、クロエは丁寧なお辞儀と礼の言葉を述べた。

「ありがとうございます!」

青年は手を横に振って応えた。

「別にいいよ。騒がしくして悪かったな。」

クロエは顔を上げて青年の全身を見た。

まず、青年の容姿に感動した。艶やかな黒髪を蓄えた色白で目鼻立ちの整ったすっきりした容姿は、見た目の良さは言うまでもなく、性格の良さも期待してよさそうだった。周りに好印象を与えるのには充分だった。次に強さに感動した。こんなに強い人は見たことがなかった。まるでアクション映画の中から飛び出してきたような人物だった。

こんな、王子様みたいな人がこの世にいるなんて。クロエはしばらく青年を見つめていた。

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