勇者様達を召喚したら脅威が滅亡しました
思いついて勢いで投稿しました。
駄文ですが、それでも良ければお読みください。
「世界を救って下さい、勇者様!」
私は大理石で作られた部屋の中心の魔方陣の上に現れた勇者様達にそう言って迎えます。
今回、呼び出された勇者様達は30人ほど。年の頃は私と同じくらいでしょうか、出来の良い見たこともない衣服に身を包んでいます。
私は勇者様達に何故勇者様達を召喚したかをお話しして助けを請いました。
「分かりました、やりましょう」
すると、勇者様達の中から1人の少年が前に出てきました。低い身長と暗い顔を見て少し不安になりましたが、折角やっていただけると言うのです。私は感謝を伝えました。
「ありがとうございます!」
ですが、その勇者様は私の方を見ずに他の勇者様達の方を見て理解のできない言葉で話し始めました。
「えー、話を聞く限り今回の標的はタイプ01パターン06の魔王っぽいです。性能はベーシック。追加で加護なしカリスマありの弱いほうだね」
「それじゃあ今回は影峰君に任せていいかな?」
「うん、これ位なら問題ないよ。聖くん」
「ははっ、じゃあ俺たちは帰るね。また後で」
「じゃねー」
ブワァッ‼︎
突然、物凄い量の魔力が吹き荒れるとそこには影峰君と呼ばれた先ほどの勇者様しか居ませんでした。他の勇者様達の姿は影も形を見えません。
「ほ、他の勇者様は⁉︎」
「帰ったよ」
「帰った⁉︎」
「まあ、それはいいから魔王ってどこにいるの?」
「魔王は魔族大陸の中央に……って違います!帰ったってどういうことですか⁉︎」
「じゃあ行ってくるね」
「待ってください‼︎待って!勇者様〜〜!」
必死の呼び止めも聞かずに勇者様もその場から消えてしまいました。
私も護衛の騎士達も宮廷魔術師達も皆呆然として動けませんでした。
私はトボトボとこの世界の破滅を思い、絶望を浮かべ父上、つまりこの国の王のところへと向かいます。
「カミュスティア第2王女殿下、入室いたします!」
父上や国の重鎮達が集まっている謁見の間に騎士の掛け声と共に入ります。入室した瞬間、私に室内の全ての視線が集まりました。うう、胃が痛いです…。
「カミュスティアよ、勇者様達は何処に?」
「それが……」
私は先程あった事実を包み隠さず全て明かします。話が進みに連れて室内の者達の顔はドンドン険しくなっていきました。
話を終えると謁見の間は静寂で包まれていました。
「なんという…ことだ……」
父上のその言葉が私たちに重くのしかかります。
ですが、暗い雰囲気に包まれたその場に空気を読まぬ声が響きました。
「魔王殺してきたよー。あれ、どうしたのあんたたち?」
それは影峰君と呼ばれていたあの勇者様でした。
「勇者様!」
「おお、あなたが勇者か!」
ワッと謁見の間が騒がしくなりますが次の瞬間には急に静かになりました。それは勇者様が手に掴んでいるモノを見てしまったからでしょう。
「あの勇者様、それは?」
「これ?魔王の死体だけど?」
「魔王の死体ぃ⁉︎」
勇者様は手に捻じ曲がった角を持ち、その先は人型のナニカに繋がっていたのです。
ナニカは魔族の特徴である紫の肌を全身ズタボロにされていました。顔だけは傷つけられてはいませんでしたが苦悶の表情に歪んでいます。
そしてその顔は私たちの知っている魔王の顔と同じだったのです。
「いったいどうやって…?」
「転移で魔王のところまで飛んで大陸ごと切り裂いただけだけど?」
「大陸ごとぉ⁉︎」
もう、驚きすぎて表情筋が引きつりまくっています。
「あ、じゃあ俺もそろそろ帰るから。勇者召喚なんてしちゃダメだよ?じゃあねー!」
そう言って勇者様はその場から消え去ってしまいました。おそらく転移したのでしょう。
私たちは驚愕のあまり暫くその場から動くことが出来ませんでした。
その後、中心から8割が消滅した魔族大陸とズタボロの魔王の死体とその側近たちの死体。凶悪な魔物の死亡が確認されて王宮内がまた驚愕に包まれるのは当然でした。
本当に、あの勇者様は何者だったのでしょうか?
この世界ではない何処かの別世界
「たっだいまー、魔王殺してきたよー」
「影峰君おかえりー」
「今回は楽だったよ」
「それは良かった。でも、次はどうかな?」
「なに?また召喚の兆しあり?」
「うん、時間は明日の昼ごろかな」
「はー、何で俺たちばっかり召喚されるんだ?」
「まあ、それが勇者の役割だからね」
「流石、 世界を何度も救った『精霊女王の婚約者』様は違うね」
「ははっ、『邪神の花婿』様にそう言われるとは光栄だね」
「くくっ」
「ははっ」
「「あはははははっ」」
コレは何処かの世界の話。世界に、精霊に、神に、運命に見初められた高校生たちの日常の1ページ。
彼らは明日も世界を救う。