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宗教

 世界の文化国全てが国教とする宗教が存在する。

 日本では「命教めいきょう」と呼ばれる、『蘇りの奇跡』を与える宗教だ。


 神の御力により命教の信徒となった者に、神のご加護である刻印を与え、一度だけの蘇りを許すという宗教になっている。

 実態は命教の宗主が持つアーティファクトより与えられた、「死亡を条件に身体を再生するアーティファクト」による能力を神の奇跡として謳う宗教である。


 命教宗主に受け継がれるアーティファクト「Transmigration」は、オーパーツであり、神器である。

 神器とは他者に特定のアーティファクトを顕現させることのできるアーティファクトのことを指す。

 神器は須らくオーパーツである。

 他者の魂を操る行為を、生物の本能だけでなすことはできないからだ。


 Transmigrationは3つの能力を持つ。

 叙階、呪縛、転生である。

 叙階は、他者にアーティファクト「刻印」を顕現させる・・・能力である。

 刻印は祭器である。

 祭器とは神器によって顕現されたアーティファクトのことを指す。

 刻印には3つの位がある。

 司教、司祭、信徒の3つである。


 一般に知られているのは信徒刻印で、信徒刻印こそが一度の蘇り(を模した肉体再生)を保証するアーティファクトである。信徒刻印は叙階を受けることで発現し、死亡時に蘇りを行う。

 一般に一度だけ蘇りを行えると言われているが、一部例外が存在する。

 一つが死亡の蘇りは外的死因に限られること。病死、老衰死などでは蘇れない。

 アーティファクトの効力自体が元の状態を作ろうとするものであるため、病気・老衰状態を元の状態として判断して戻りきれないからだ。

 一つが刻印者のエネルギー量が少ないこと。

 刻印箇所を基準に肉体を再構築するアーティファクトであるため、刻印部位から他部位が生えてくる形になる。大多数の人間の魂のエネルギー量なら人間の肉体一つ分は容易だが、ごく一部の人間はエネルギーが足りずに再生に失敗して死に至る。

 前者については一般に知られているが、後者については殆ど知られておらず、訴えがあった場合前世で神のご加護が足りなかったなどと説明される。


 司祭刻印は叙階を行えるアーティファクトである。

 司祭刻印はそのため、神器であり祭器であるアーティファクトだ。

 一般信徒の刻印は、司祭刻印者によって与えられている。宗主が刻印する対象は基本的に司教と司祭のみである。

 司祭が世界各国に所属し、各国民を一般信徒としている。

 叙階には対象が付与者へ自らの魂へのアクセスを許可する必要がある。

 そのため叙階の時に「汝自らの魂を神へ明かし、捧げるか?」と唱えられ、頷くことにより叙階が為される。

 司祭が刻印できるのは信徒刻印のみである。

 また司祭刻印では(洗礼者により程度の差はあるが)意志強度の低い者しか洗礼できない。そのため命教は幼児洗礼でのみ刻印を与えている。

 魂アクセスの許可と意志強度の低さが条件となり、6歳のときにのみにしか受けられないということになっている。

 現代では何らかの事情により洗礼を受けられなかったの者のことを蔑視する傾向があり、「紋無し」と揶揄される。


 司教刻印は呪縛を行えるアーティファクトである。

 呪縛は刻印所持者に心的制限を加える能力である。

 司教から与えられた制限を無意識に守ろうとする心理的働きかけが起こる。

 一般信徒は皆須らく「外的アーティファクト非認識」の呪縛をかけられている。刻印を除くアーティファクトを確と認識しない制限だ。見ているときはそれを視界に収めることはできるが意識の中心には置けない。そして視界から外れればすぐに忘れてしまう。そういう呪縛を与えられている。

 そのため一般信徒はアーティファクトを認識できず、知識を得ても忘れてしまう。

 司教刻印では呪縛を信徒刻印にしか付与できない。


 Transmigrationは刻印の形をしたアーティファクトである。

 司祭刻印と司教刻印と信徒刻印を与える叙階が使える。

 あらゆる刻印所持者に呪縛を付与できる。

 死亡したときTransmigrationを司祭刻印を持つ司祭の中で最も適正のある人間の元にアーティファクトが移動する。これを第三能力の転生という。




 命教の起源は1400年前後の欧州にある。

 アーティファクト顕現の始祖は貴族階級の者であった。

 始祖は他者を虐げ隷属させることに悦びを見出す人間であったものの、それを隠す必要性の理解と隠す術を持っていた。表では優しく民に優しき君主、裏では冷徹で傲慢な支配者だった。

 ある日始祖の元にアーティファクトを持つ者が現れた。その者はアーティファクトの存在とその力について知悉していた。民を思う賢者は民を救う力になればと、優しき君主へ知りうる全てを伝えたのだった。

 結果、貴族という役割から集団心理に通ずる機会のあった始祖は、人の心理を利用した、人の命を握るオーパーツと管理構造を生み出した。

 何も知らない者へ神を讃え囁く。

 そして見せる蘇り。

 人は知らないソレを神の奇跡だと崇め、より始祖へ傾倒、崇拝していく。

 信奉者は増え、始祖一人では手が足りなくなるだろう。なれば代わりを。司祭を。洗礼者を。

 事実を知れば裏切り告発する者も出るだろう。なればそれを抑えればいい。呪縛を。

 自らの寿命により全てが終わるのは望ましくない。なれば永劫へ続け。転生を。

 アーティファクトと偽りの宗教を通して全てを支配する。

 始祖の望みは果たされつつある。

~今北産業~

命教という蘇りを与える宗教があるよ。

実態は蘇りのアーティファクトを顕現させる組織だよ。

アーティファクトに関する情報を牛耳ってるよ。

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