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カクリミ・リリジョン  作者: ナガトケイタ
丸呑みにされるような日常の中で
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日常嫌いの神社参り

どうも、はじめまして。作家志望のナガトケイタと申します。

たくさんの人に自分の作品を読んでもらって、アドバイスをいただけたらなぁと思い投稿しました。

初心者まるだしな駄文ですので、かなり読みにくいこととは思いますが、どんな些細なことでもいいので、助言をよろしくお願いします。

少しでもマシな文章をかけるように、頑張ります!




      『カクリミ・リリジョン』






























   あったとも知れないプロローグ



 神さまなんてものを俺は本気で信じちゃいない。

 

 ―――――それだけじゃない。幽霊も、妖怪も、怪異も、不思議も、魔法も、伝説も、奇跡も、運命も、この世界で『オカルト』なんて呼ばれ方をしている存在を俺は心の底から信じきっていたわけじゃなかった。

 ファンタジーやゲーム、そんなおよそフィクションの中でしか見ることもないような そんなワード。


 ――――みんなそんな存在を、この現実世界の中で生きていくうえで信じきって期待しているヤツなんか、到底いないだろう。

 みんな、大好きな物語の中の主人公に憧れて、その魅力的な世界に没頭し、その存在がこの世界のどこかにいてほしいと夢想する。

 ―――しかしその実、みんな分かっているのだ。

 この現実にそんな『非日常』などはありはしない。―――――『オカルト』は存在したりえは、しないんだと。

 こころの片隅で、これは創作の中だからとして割り切っている。冷めている。

 

 ―――かくいう、俺もそうだったワケで。


 別にオカルト自体を毛嫌いしているわけじゃない。人並みには、というかそれ以上にはそういった非日常に憧れている。

 年末になると決まって放送されるヤラセ丸出しな特別番組も、よくよく考えれば内容が自然の摂理に反しているような陳腐な怪談も、どちらかというと目に止まったら見たりしてしまうほどだ。

 俺が好きな小説にはかわいい女の子の幽霊キャラは出てくるし、特別な能力を宿した主人公が世界を危機から救うために活躍している。それが当然にカッコイイとも思っているし、そんな『ヒーロー』なってみたいと割りと本気で思うことだってよくある。

 ただ、俺は、フィクションの中の存在でしかない〝そいつら″を、あろうことか現実世界の中にまで引っ張ってきてまで、その存在を望むことの滑稽さを、このどうしようもなくつまらない世界でそんな『ヒーロー』に憧れることが、どんなに虚しいことなのかを、誰よりもよく知っていた。


 なぜなら、そんなありえないくらいの『非日常(ヒーロー)』が、すこし前に自分の身近にはいたことがあるのだから。


 神は本当にいる? 幽霊が視える? だからなんだ。

 『オカルト』は『オカルト』であり『フィクション』は『フィクション』である。―――だからいいんじゃないか。

 だからこそ俺たちは無邪気に憧れることが出来るし、無責任にキラキラと輝く羨望のまなざしを向けることが出来るのだ。

 もしそれらの『非日常』が、なにかの間違いでもこの『日常』にひょっこりと現れたでもしたのなら、それはもはや『日常』だと呼べるだろう。

 鮮明に明瞭に光を放っていた『非日常』は、なんの個性も色彩も持たない限りなくグレーな『日常』に黙って駆逐されていくに違いない。

 そこにはオカルトもへったくれもない。

 小説の中にしかなかったものが、〝現実″へと変わる。

 聞き心地だけならば、それはなんともドラマチックで胸が沸き立つ、実におあつらえむきな〝らしい″台詞と言えるだろう。

 しかし実際、それはもはやちっとも笑えない。そこには物語でしか味わえなった興奮も、掻き立つような感動さえもなりを潜めて、それまで『非日常』だと思っていたモノが途端にその色を失っていってしまうということなのだから。


 それなのに、そんなことすら分からないまま、現実に『非日常』を、『ヒーロー』を求める輩は少ないとはいえ、たしかに存在している。

 中二病だかなんだか知らないが、別にそんな限った話じゃない。

 『この世界には不思議があふれている』、『俺には特別な才能がある』『運命の相手がどこかにいる』・・・・・・・・。

 たとえそう本気で考えている人間はいなくとも、たとえそんな願望が必ず成就すると思い込んでいなくとも。

 多かれ少なかれ、人間はそんな風に心のどこかで考えているものなんじゃないだろうか?

 ・・・・・・・・バカバカしい。


 〝現実はそんなファンタジーじゃない″。


 ――そんなことは分かっている。

 別段、美しい転校生の女の子にぶつかることもなく学校に向かい、血みどろな異能バトルに巻き込まれることもなく一日の大半を消費していく。

 魔物や怪しげな魔術師と出会うこともなく帰り道を歩き、難攻不落の怪事件に行き当たることもなく自然と家に帰り着く。

 ―――そうして、とくに不思議な夢を見ることもなく、また一日を綴じる。


 それこそが俺たちを取り巻くこの『日常』だ。


 そこに劇的な出逢いも、数奇な運命などありはしない。

 平凡に生きて、平凡に日常を送っていく。一つとして代わり映えしない一日をただ繰り返し続けるのだ。そこには疑問も不満も滑り込む隙間はない。


 分かっていたのだ、そんなことは。

 世界には、誰も知らない不思議なんてものはない。

 世界には、運命の赤い糸なんてロマンチックなものは存在しない。

 世界には、魔王もいなければ、勇者なんて業種がこの先うまれるようなことはない。


 とにかく世界には、運命を見守る神様なんてものは――――いない。


 ―――そう、俺はたしかに考えていた、はずなのだけれどなぁ。









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