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隣の席のうるさい女子と大人しい女子…オレが好きになったのは…

作者: 猫の集会
掲載日:2026/03/12

 オレは、高校二年生。

 

 学校にもだいぶ慣れた。

 

 しかし…隣の席の人には、慣れない。

 

 というか、苦手。

 

 

 

 一時間目…

 

「あ、たけし消しゴムかして‼︎」

「あ…」

 

 …

 

 

 ⁉︎

 

 返事する前に、めっちゃ高速スピードで消しゴムを奪う、こざるみたいな隣の席のギャル由華絵ゆかえさん…

 

 そして…

 

「この消しゴム消しずらー」

 と、文句を言いながら返してきた。

 

「ありがとうよ、たけし」

 

 …

 

「オレ、たかとなんだけど」

「細かいなぁ。たけしもたかともさ、た‼︎からはじまるんだからいいじゃん。細かい男は嫌われるよ?」

 

 …

 

 別に、あんたに嫌われるなら構わないけどねー。

 

 

 そんな、うっさい隣の席の人とは大違いな大人しい女の人に、オレは恋をしている。

 

 

 それは、数ヶ月前にさかのぼる。

 

 オレのバイト先に現れたその彼女は、清楚系な服装で、さみしそうにベンチに座っていたんだ。

 

 だから、オレは遠巻きからだけど、その人に手をふった。

 

 その人は、少しだけ微笑んで手を振りかえしてくれたんだ。

 

 一目惚れだった。

 

 あんまり顔がはっきりみえたわけじゃないけど、でも好きだなぁってなぜかそう思ったんだ。

 

 その人は、不定期だけどオレのバイト先によくあらわれる。

 

 

 でもさ…いつもさみしそうなんだよね。

 

 

 

 …

 

 

「あー、もうマジでウザい‼︎この問題意味わかんないんですけどー」

 

 …

 

 あの人のことを考えていたら、隣の席の人がうるさすぎて、現実に引き戻された。

 

「いつも元気そうでいいね。」

「あー…ね!てかたけし、シャー芯一本くれない?」

 

 …

 

「いや…だからオレは、たかとだし…。ま、いっか。はい、どうぞ」

「サンキュ!あ、いったっ‼︎」

「大丈夫?」

「あ、うん。平気平気ー」

 

 …

 

 元気だなぁ。

 

 この人…

 

 

 あれくらい、あの人も元気なら…いいのに。

 

 …

 

 最近は、いつもあの人をなにかと思い出している自分がいる。

 

 

 …

 

 今日…くるかな、あの人…

 

 

 いつものように、バイトをしていると、来た‼︎

 

 あの人が来たっ‼︎

 

 でも…やっぱりさみしそうだった。

 

 オレは、彼女の隣にそっと座った。

 

 はじめは、驚いた顔をしていた。

 

 でも、しばらく座っていたら、話しかけてきてくれたんだ。

 

 

 

「わたしね…居場所がないんだ。家では、ずっとパパとママが喧嘩しててさ…学校でも、表面上の友達しかいない。彼氏には、浮気されてさ…はは…もうさ、笑うしかないよねぇ…。ほんっと、バカみたい。」

 

 無理して笑ったかと思ったら、いきなり泣きだす彼女の頭に、そっと手をのせて、背中を優しくさすった。

 

 しばらくすると、

「ありがと!黙って話聞いてくれて。少し元気でた。この前も、もしかして…手ふってくれたよね?」

 って、頑張ってオレに微笑んでくれた。

 

 オレは、黙ってうなずいた。

 

「じゃ、またね!」

 

 少し…元気でた…かな?

 

 どうしたら、あの人は…心から笑えるんだろう…。

 

 心配だな…。

 

 

 

 …

 

 そんな心配をよそに、隣の席の由華絵さんって人は、今日もうるさい。

 

 いや、うっさい‼︎

 

「ねぇねえ‼︎ねえねえねえ‼︎」

「んー?なんだよ…」

 

 まだホームルームが始まらないので、寝ていたのに、起こされた。

 

「あのさ、海の見える学校ってさ…よくない⁉︎」

「え…?」

「いいよね‼︎だって、学校の教室から海見えるんじゃん?よくない⁉︎」

 

 …

 

 唐突に、どうしたっていうんだよ…

 

「あー、いいねー」

「もー…テキトーすぎー…」

 

 ⁉︎

 

 んっ?

 

「あの…」

「はぁあー、あくびでたぁ」

 

 …あ、なんだ。

 

 あくびしたのか。

 

 目がうるんでるから、泣き出すかと思ったぜ。

 

 てか…

 

 声が…

 

 声が、あの人に似ていて少し驚いた。

 

 

 

 それから数日後、またあの人がベンチに座っていた。

 

 オレは、また黙ってそっと隣に座った。

 

「あ、また来てくれたんだ…。」

 黙ってオレはうなずいた。

 

「あのさ…わたし、もうここには来れないの。」

 

 …

 

「転校するんだ‼︎海の見える学校なの。楽しみだなぁ…。」

 

 そう言いながら、涙を流した。

 

 ⁉︎

 

 

「楽しみなのに、泣くなんて…変だよね。今までありがとうね。うさぎさん!おかげで、あっちでも、頑張れるよ。」

 

 …

 

「うさぎじゃねーよ。」

「えっ⁉︎しゃべった‼︎」

「今は、休み時間だし。あと、オレ犬な。そんでもって、オレは…」

 

 …

 

「たかと…?」

 

 ⁉︎

 

「なんでわかった?」

「声…声が…」

 

 …

 

「まぁ、バレたら仕方ないな。ごめんな…ずっと黙ってて。てか、さっきオレも気づいたんだ。学校とめっちゃ違うじゃん。化粧も服装も…。でも、話聞いて…もしかしてってさ。」

 

 オレは、そっと着ぐるみの頭を外した。

 

「転校…するんだ?」

「うん。親が離婚する…って。」

 

 彼女の目から、ポロポロ涙が溢れだした。

 

「居場所…」

「えっ?」

「居場所なら、あるじゃん。オレがいつでも話聞くから。だから、だから…そんな泣くなよ。オレがいつでもさみしい時は、ふっ飛んでいってやるから」

 

 …

 

「うん…うん。ありがとう、たけし犬」

「だれがたけし犬だよ」

「ふふ」

 

 

 彼女が笑った。

 

 

 

 おしまい♡

 

 

 

 

 

 

 

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