幕間 新しい友人たち
<side キルシュ・ラーデン>
「ふふっ、今日は楽しかったなぁ……」
食事で使用した木皿や木のスプーンを桶に貯めた水で洗い流しながら、食事会のことを思い出す。
別に大勢でも食事が久しぶりだったからとかではない。
私は、幼い頃に両親を亡くしてからは、この街の孤児院で生活していた。
だから、大勢で食事することには慣れているし、大人になった今でも子供たちと一緒に食事することは偶にある。
だけど、孤児院の人たち以外で、しかも友人と呼べる人たちとこの家で食事したのは、今日が初めてだった。
「けど、迷惑だったかな……面識のない4人を集めて食事会だなんて……」
私は、今日集まってくれた4人とは友人だと思っている。
でも、私以外は違う。
ケリンさんとソーバちゃんは、知り合いだったようだったが、他のみんなは面識が無かった。
「でも! みんな笑顔で食事してくれたし、最後は4人一緒に帰っていたらから、きっと打ち解けてくれたよね!」
そうじゃなきゃ、4人並んで帰ることはしないだろう。
きっと、今頃は4人で談笑しながら家路についているはずだ。
「もしかしたら、酒場とかでお酒とか飲んで、盛り上がっているかも……ふふっ」
ちょっと妬けてしまうが、それよりも友人同士が仲良くなってくれていることが嬉しく思う。
「でも……みんな女の子なのに、強い人たちだよね。やっぱり、鍛えているのかな……?」
4人の友人たちは、皆強かった。
ケリンさんは、知らないうちに牢屋に閉じ込められていた私を助けてくれた。
ソーバちゃんは、森で魔獣に襲われそうになった所を助けてくれた。
カノンさんは、憲兵に因縁をつけられて連れて行かれそうになった所を助けてくれた。
シエフちゃんは、暴漢に襲われそうになった所を助けてくれた。
こうして思い返してみると、みんなに助けてもらってばかりだ。
自分の体へ視線を落とす。
別に背が低いわけでもない。
ソーバちゃんやシエフちゃんよりも高い。
……まあ、ケリンさんやカノンさんには負けるけど……
だけど、胸には自信がある。
そこら辺の女の子と比べても大きい方だと思うし、形にも自信はある。
孤児院に遊びに行った時だって、男の子たちがいたずらで触ってくるくらいだ。
ちょっと嫌だけど、母親に飢えている子供たちだから仕方ない。
でも、魅力的に見えていると言う事には、間違いないはず。
「うーん………女性として魅力的かもしれないけど、強くはないもんね……」
このお店を一人で切り盛りしているから、普通の女の子たちよりは体力はあるし、筋肉もあると思う。
けど、4人のような強さは持ち合わせていない。
「私も何か武術とか習った方がいいのかな……?」
4人との出会いの時もそうだったが、私は昔から色々なことに巻き込まれてきた。
ある時は、下着泥棒と勘違いされたり。
ある時は、人身売買の一味だと勘違いされたり。
ある時は、殺人事件の犯人だと勘違いされたりと、何かと事件に巻き込まれた。
孤児院の先生からは、「そういう星の元に生まれたのかもしれませんね……」と遠くを見つめながら言われたこともあった。
「そうだ! 4人に教わればいいんだ!」
これは名案だ。
友人に教わった方が続けやすいし、優しく教えてくれるはず。
それに、よく分からない人に教わるよりずっと安心できる。
「ふふっ、今度お店に来た時にでもお願いしてみよ」
そんなことを考えながら、鼻歌まじりに皿洗いを続けた。




