遊園地
突然の四人での遊園地。
一応理玖斗にも伝えて、みんな来るか来ないかわからなかったけど、恐る恐る駅に向かった。
そしたら、もう三人揃っていてなんだかものすごくホッとしてしまった。
不思議だ…
苦手な鷹見先輩がいるのに、なぜかものすごく安心してしまったのは、謎だ。
理玖斗と伊吹先輩は、ほぼほぼ初めましてなのだが、同級生ということもありすぐに打ち解けたっぽい。
…だけど、一番ぎこちないのは理玖斗と鷹見先輩。
そして、ホントはこの二人が付き合っているんじゃないの?ってくらい仲良しなのが伊吹先輩と鷹見先輩だ。
理玖斗…しっかりしなさいよ!って内心思ってしまった。
…
遊園地は結構近くて、すぐに到着した。
そしてパークに入るなり伊吹先輩は、いきなりわたしの肩を抱き寄せ、
「オレはふゆめんとまわるから、じゃあねん♡」
と、わたしを引き連れ歩き出した。
⁉︎
え?と、なりつつもおとなしくそれに従うわたし。
だって…ね?
そりゃそうなりますよね。
理玖斗と鷹見先輩は、付き合っているんですものね。
でも、なにかいいたげな鷹見先輩。
そして理玖斗もなにか言いたそうだったが二人は、わたしたちとは別の方向に二人で歩いて行った。
その姿を見送ったわたしと伊吹先輩。
わたしは、伊吹先輩に離してもらえませんか?って言おうとしたその瞬間、伊吹先輩がいきなりわたしから手をパッと離して、
「ゴメン…いきなりキモかったよね。ほんとゴメン」
と、真剣に謝ってくれた。
?
よくわからなかったけど、大丈夫ですとこたえると伊吹先輩は、少し恥ずかしそうに
「実はさ…オレずっと泉が好きなんだ」
って打ち明けてくれた。
でも、そのことがバレると気まずくなりそうだからって、いつもほかの女子とわざと仲良くしたり、鷹見先輩の恋愛相談を受けていたそうな。
…
すごすぎる。
好きな人にそこまでできるって…ほんとにすごい事だと思う。
わたしなんか、理玖斗が鷹見先輩といい感じになってるのみたら嫌だし…応援なんか辛いけど…
さらには、相談とかって…
それはきつい
…
「じゃあ、遊園地に四人で行こうって言ったのって…」
「あの二人、全然進展しないから心配で」
って少しさみしそうに、でもそれを隠すように一生懸命笑う伊吹先輩。
優しすぎて、こっちが泣けてきそう。
でも…あの二人って、刺激し合う仲とか…なんなら、鷹見先輩…放課後購買で理玖斗に、あなたが初めてだったとか言っていたような…
…
まぁ…
ね…
でも、心配してくれる人がいるって素敵なことだよね。
「先輩は、優しいんですね」
「どうかなぁ」
少し遠くをみつめる伊吹先輩だったけど、いきなり我にかえり、携帯がオレを呼んでるって、携帯を取り出した。
しばらく携帯と睨めっこする先輩。
「どうしました?」
あまりに睨めっこしているから、つい気になってしまって、聞いてしまった。
すると伊吹先輩は、慌てて携帯を閉じて
「あぁ、ううん。なんでもない、どれか乗ろっか?」
と、気分を入れ替えたみたいにみえた。
でも…
数分おきに伊吹先輩の携帯がなった。
?
「大丈夫ですか?」
「あー…それが…だぁ‼︎もぅっ‼︎しょうがねーな!」
伊吹先輩がちょっと待っててといい、どこかへ電話をかけながら走っていった。
観覧車の下な!わかったって聞こえたので、ここで待っててって言われたけど、思わずついてきてしまった。
観覧車の下のベンチには、鷹見先輩がいた。
「あしが痛い‼︎喉かわいた‼︎ずっとここに一緒にいてよ‼︎」
と、鷹見先輩はまるでこどもみたいに伊吹先輩にグズっていた。
…
わたしは、少し離れたところで二人をみていた。
理玖斗は、どうしたのだろう?
そう思っていると、後ろから
「冬芽?」
と、呼ばれた。
「あ…理玖斗」
理玖斗は、手にジュースを持っていた。
たぶん…具合が悪くなった鷹見先輩用のやつだろう。
…
これは…修羅場になってしまうんじゃ?
いつもなら温厚な理玖斗だけど…さすがに彼女が他の人に詰め寄ってたら、そりゃ気分悪いよね…。
鷹見先輩は、どうしたのだろう…。
「あの、理玖斗…大丈夫?」
「え、オレは全然。てか、冬芽こそ…あの二人みてて距離感しんどいよな?」
「えっ?わたしは、全然」
「そうなんだ?彼氏が幼馴染とあんなに接近してても平気なんだ?」
と、意味不明なことを言い出した。
?
「いや、わたしたち付き合ってないし…そもそも理玖斗こそ、彼女があんなに幼馴染と接近してて嫌なんじゃないの?」
「え?オレたちこそ付き合ってないよ?てか、さっき鷹見さんに、わたしやっぱりあなたとは付き合えないとか言われた」
と、不思議そうに言った。
?
どういうこと?
二人で顔を見合わせていたら、わたしたちに気づいた伊吹先輩が、
「ごめん。泉が気分悪いっていうから、二人で乗り物乗ってきていいよ」
って言われた…
これはいったい…どういうことなのでしょうか?
続く。