表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/11

だれですか?

 理玖斗に、彼氏役をうまく断れずに…ズルズルとしてしまっているわたし。

 

 

「あ、あのさ理玖斗…」

「ん?なに?」

「た、鷹見先輩って…いつもニコニコしてるよね…」

「あー、なんか最近そうだよね。オレもびっくり」

 

 …

 

 そう…なんだ?

 

 じゃあ、今までって…無愛想な彼女だったのかな?

 

 …

 

 でも、それでも美人だしクールな彼女も理玖斗的には、ありなのだろう。

 

 どうしよう…

 

 彼女がわたしのこと嫌がってるから、もう一緒に帰らなくていいよなんて言えないし…

 

 

 そもそもわたしが、ほんとうの彼氏でもいたらいいんだけど。

 

 そんな人いるわけないし、そもそもわたしは…理玖斗が好きで…

 

 

「ハァァ」

 思わず漏れてしまったため息を、すかさず聞き逃さない理玖斗。

 

「どうしたんだよ?なんか元気ないじゃん」

「え、そんなこと…あるに決まってる‼︎」

「やっぱりか。どうした?」

 

 理玖斗があんまり優しく顔を覗き込むから…だからわたしは、泣きそうになったのを堪えて明るく、

「空曜日、却下されて落ち込んでるー」

 って笑った。

 

 

 そしたら理玖斗も、

「まだそんなこと言ってたんかい」

 って笑い返してくれたから、なんだか少しホッとした。

 

 

 このまま、前みたいに理玖斗の部屋でゲームとかしたかったけど、でも彼女がいるのだから、そこまで甘えちゃいけないってことで、わたしは極力理玖斗の部屋には、お邪魔しない。

 

 なんなら、バイトを始めようかなって思っているところだ。

 

 

 理玖斗離れしなきゃだ。

 

 

 

 

 

 次の日

 

 張り切って、バイトの面接に早速向かった。

 

 んだけど…

 

 あれれ?

 

 鷹見先輩が理玖斗じゃない、ほかの男の人といる。

 

「もー、蒼一そういちは黙ってて」

「えー、いいじゃん」

 と、仲良さげだ。

 

 二人をジーッとみていると、うっかり二人に気づかれてしまった。

 

 

「あ、幼馴染ちゃんだ」

 さっきの笑顔は、どこへやらってくらい一気に表情が曇る鷹見先輩。

 

 …

 

「あー…どうも」

「だれ?」

「氷河くんの幼馴染」

「あー、あの全然かまってくれない彼氏の」

 

 …

 

 それって、やっぱりわたしのせい…だよね?

 

「で、君は?」

 わたしをじっとみいる鷹見先輩のお友達。

 

 君は?とは、なんだろう?

 …

「えと…なんですか?」

「君は、彼氏いないの?いるか。かわいいもんなぁ」

 

 その君は?だったのか。

 よかった。

 

 君は、どういうつもりでいつも帰りおくってもらっているの?って言われているのかと思って、正直焦ってしまった。

 …

 

「いませんけど…」

「マジ⁉︎なら、オレと付き合うか?」

 

 バシッと肩を鷹見先輩に叩かれる男性。

 

「いてーだろ。ヤキモチやくなって」

「やいてない。あんたは、いつもそう。軽いのよ。ほこりみたいにふわふわふわふわ」

「ほこりっていうなや」

「ほこりは、ほこり」

 

 …

 

 なんか、楽しそう。

 

 理玖斗といるときも、鷹見先輩はこんな感じなのかな。

 

 

「あの、わたしこれからバイトの面接なのでこれで失礼します」

「え?どこでバイトするの?」

 興味津々な男性

 

 

 わたしは、近くにあるケーキ屋さんを指差した。

「えっ?それは…」

 

 鷹見先輩が驚いた顔をしていた。

 そして何かを言いかけたとき、くいぎみに

「オレ、そこでバイトしてるよ。受かるといいね!そしたら、よろしくー。頑張ってね」

 と、男性が言った。

 

 …え、あの人そこでバイトしてるんだ?

 

 ケーキ屋さんとか、ちょっと意外だな。

 

 ところで鷹見先輩は、なんて言おうとしてたんだろ?

 

 …

 

 面接中、鷹見先輩とさっきの人が頭から離れなかった。

 

 二人は、なんで一緒にいたんだろう?

 たぶん男の人は、同じ学校じゃないよね。

 みたことないし…

 

 学校違うのに、あんなに楽しそうに…

 

 理玖斗といるときよりも、生き生きしてみえた鷹見先輩。

 

 

 え、待って‼︎

 

 わたしが理玖斗と一緒に帰ったりしてるから鷹見先輩…浮気してるんじゃないよね⁉︎

 

 

 面接がおわり、慌てて理玖斗のもとへ向かった。

 

 

「理玖斗‼︎」

「あー、冬芽じゃん。珍しいな、オレの部屋来るなんて」

 

 呑気なこと言って…

 

「あのさ、鷹見先輩が…」

「なに?鷹見さんが?」

「えと…ううん。」

 

 言えないよ。

 

 そうだよね…。

 

 彼女がほかの男の人といたよ?なんてさ…

 

「あ、わたしね。バイトするの。さっき面接受かって。で…鷹見先輩の知り合いがそこで働いてるって…ね。それだけ。」

「バイトかぁ。受かってよかったね。今度バイト先に遊び行っていい?」

「うん…」

 

 …

 

 理玖斗…

 

 彼女とられちゃうよ?

 

 もどかしい…

 

 言いたいのに言えない…

 

 鷹見先輩のこと…色々話したい。

 

 でも…全部言えないことばかりで…

 

 

 ラムネのビー玉が入り口で詰まって、ラムネが飲めないよってなる感じ…。

 

 あのビー玉って…なんの役割なんだろう?

 

 早く飲みたいって思えば思うほど…ビー玉が詰まって飲ませてくれない。

 

 わたしが焦りすぎてるから、ビー玉みたいに言葉が詰まるのかな…。

 

 

 …

 

 

 わたしは、何やっているんだか。

 

 

「あ、じゃあわたし買い物いかなきだから帰る」

「おー。じゃあな」

「うん」

 

 …買い物ついでにラムネでも買ってこようかな。

 

 久々に飲んでみたくなっちゃったな。

 

 

 続く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ