相談
最近悩んでることがあるの。
そう携帯に幼馴染からメッセージが送られてきた。
幼馴染の冬芽は、オレの一個下の中学三年生で、人見知りかまってちゃんだ。
慌てて幼馴染の冬芽に電話をした。
どうした⁈大丈夫か⁉︎と。
勉強のことならいいが、それ以外なら心配だ。
オレの慌てっぷりとは反対に、冬芽は落ち着いた口調で、
「今からそっち行っていい?」
と、聞いてきた。
…
「いや、もう夜中だし…オレがいくよ?」
と、提案するも冬芽は
「もう、いるよ?生き霊とばしといたから」
って平然と言いだした。
…
「おい、こえーな。それはやめろよ…引っ込めよ」
「もう、しょうがないなぁ」
冬芽は、渋々生き霊をひきもどした。
たぶん…
で、相談は明日聞いてもらうからっていい電話を切られた。
なんだか急にアイスが食べたくなったから、生き霊とばしたり、あんたをかまっている場合じゃないと。
…
こんな夜中にアイスって…
しかも真冬に…
てか、相談聞くの明日っていうか、もう十二時過ぎてるから今日だ。
ところでアイス?ダイエットするって冬芽いってなかったかな?って思っていたら、いつのまにか寝落ちして、起きたらもう朝だった。
授業の一時間って長いのに、睡眠中の数時間ってあっという間な気がするのは、オレだけですか⁇
そんなくだらないことを考えながら、朝ごはんをモグモグ食べて、ガシガシ歯を磨く。
そうこうしている間に、いつのまにか背後に視線…
歯磨きをしているオレの後ろから…視線。
そっと…鏡越しから幼馴染の冬芽がこちらをみていた。
「ふくしゅうのとき」
と、一言ぼやいた。
え…
こわ…
オレ…冬芽になんかしちゃってた⁉︎
場合によっては、すぐさま謝罪だ。
「…あ、冬芽。来てたんだね…と、とりあえず部屋行こっか。」
「うん」
階段をのぼっている途中、オレは気がついた。
オレが先に来てしまったけど…いきなり下から、なんかしらの復讐されないよね?と。
一応、警戒しつつ階段を登った。
が、しかし後ろからの復讐はなかった。
よかったー…。
階段をのぼるのに、こんなにハラハラしたのは、うまれてはじめてじゃない?って勢いでしたね。
安心したので、これで相談事をゆっくり聞けますね。
って…まてよ?
昨日…冬芽は、相談って言ったんだよね?
相談だよね?
ね?
聞き間違いじゃないよね?
なんか…相談じゃなかったら、どうしよう…。
さぁ、復讐のとき‼︎とか面と向かって言われたらどうしよう…。
そう不安になっていると冬芽は、
「靴下って、右と左どっちから履く派?」
って質問してきたね?
なに?
この質問…なんかうらがある?
え…
どっちってこたえるのが正解なんですか?
あぁ…わからない。
「えと…右です」
恐る恐るこたえるも、正解か不正解か知らされずに、
「へー」
とだけ言われ。
…
そしてオレの目を覗き込むようにじっとみてきて、
「相談なんだけど、いいかな?」
って、ついにはじまりました。
「あぁ、うん。そ、相談ね。どうした?」
と、一応落ち着いて耳に集中。
すると冬芽は、
「水曜日と木曜日の間に空曜日入れない?」
と、真面目に言ってきた。
「えっ?」
「だからぁ、水曜日と木曜日の間に空曜日を入れるの。」
「…なんのために?」
「まぁ、なかやすみってやつ。空っぽ曜日です‼︎」
と、得意げな顔をしだした。
なかやすみ…。
確かに、なかやすみ欲しいけど…
「それって…どうやってつくるの?」
「まぁ、カレンダーに無理矢理ねじ込んだらよくない?」
…
無理矢理だった…
「あー…それはいい案だけど…難しいかも。一週間が八日になって、一年が三百六十五日じゃなくなると…そもそもの一日の時間も諸々かわってきて…うーん…なかなか大仕事どころじゃないよね。これは…そう簡単に変更できなそうだな」
「そうなんだ?でも世の中には、頭のいい人たくさんいるよ?その人にお願いしたらできそうじゃない?」
…
「あー…」
お願いって…
「でも、やっぱり無理かー。理玖斗に言えばなんとかなりそうって思ったのになぁ…」
遠くを見つめる冬芽。
…
「役立たずでごめんな」
「ううん。大丈夫!じゃ、わたしやることあるからさ、またね!」
冬芽は、そう言うとさっさと帰ってしまった。
…
え?
もしかして…相談って、空曜日のことだったんだ?
でさ…復讐ってなに⁉︎
え、こわ…
てか、もう帰るんだ?
…
なんだったんだよ?
続く。




