【第7話】伝説の魔獣を黙らせる
いよいよダンジョンのボスと邂逅・・!
俺たちは神殿のような空間に足を踏み入れた。中は薄暗く、古代の彫刻や壁画が描かれた荘厳な雰囲気が漂っていた。高い天井にはまるで本物の星空のような模様が描かれ、奥には一際目立つ祭壇が見える。
「なんだここは…綺麗だね」
リーナ「ここは古代の神殿ね。ものすごく莫大な魔力を感じる」
俺たちは祭壇に近づいていった。祭壇の中央には巨大なクリスタルが鎮座しており、その中には小さな白い物体が入っている。
リーナ「書物で読んだことがある…古代の封印魔法だわ。このダンジョンは何かを封印するために作られたのかもしれない」
グリード「扉やモンスターに魔法が吸収されたのも納得だな。封印を解こうとする魔法使いがここまでたどり着けないようにしてるんだ。」
その時、目の前に巨大な魔法陣が出現した。
「何この模様」
グリードが警戒しながら近づこうとすると、突然リーナとグリードの魔力が魔法陣に向けて吸い取られ始めた。二人は驚きと共に後ずさった。
「うっ、魔力が吸い取られる…!」
リーナが叫ぶと同時に力が抜けたように膝をつく。
「どういうこと?」
グリード「とにかくヤバい予感がする!」
魔法陣が光だし、雷が落ちたような衝撃と共に巨大な化物イノシシが姿を現した。
皮膚は溶岩のような見た目で体中からグツグツのマグマが流れ出している。
グリード「マグボア!?こいつは西の火山地帯に生息する魔獣だ!!」
リーナ「そんなやつが何でこんなところに・・」
リーナ「魔法陣に魔力が全て持っていかれた!」
グリード「こえー!!!!!こいつはそこら辺にいるようなただのモンスターじゃない!強いぞ!」
「火山地帯?!そこでキャンプしてみたいから今度行き方を教えてほしい」
グリード「今それどころじゃないってアニキー!!!!」
マグボアが咆哮を上げ背中からは溶岩が噴き出した。
「今夜のキャンプ飯は高級ジビエで決まりだね!」
「グリード!リーナを守って!!」
グリード「おう!」
流石に熱いな。こっちは2人の魔力が吸い取られて魔法での中・遠距離攻撃が封じられた上に、肉弾戦をするにも熱くて長時間あいつに近づくのはちょっとキツそうだ。このダンジョンはよっぽど攻略されたくないのか、よく考えられている。
「とりあえず一発入れてみようっと」
俺は火山弾を避けながらマグボアに近づき腹部を思い切り殴った。
「ドンッ」
「あちちち」
マグボアは少しぐらつき皮膚の溶岩が崩れ落ちた。
怒り狂ったマグボアは火山弾で攻撃してくる。
「あぶねっ」
初めてのボス戦、今までの雑魚モンスターとは違って一筋縄じゃいかなそうだ。
けどワクワクが止まらない。異世界のイノシシなんて美味しいに決まっているからだ。
グリード「アニキが強いのはわかってるが、油断しないでくれよ!それくらいコイツは危険だ!!」
「了解」
たしか・・鼻が弱点とかって聞いたことがあるな。キャンプをしていた時もたまに遭遇していたが、そもそもただのイノシシやクマごとき弱点を狙う必要もなかったからな・・試してみるか。
「確かにあいつ・・鼻だけ溶岩を纏ってない」
「よしっ!」
俺は火山弾を避けながらマグボアの正面に飛び込み、鼻に向かって全力で拳を振り下ろした。
「ボッゴォォン!!!」
拳が鼻に命中すると、衝撃で身体中の溶岩が崩れ落ちそのまま地面に倒れ込んだ。
「ふぅ、何とかなったね」
リーナとグリードも安心したと同時に、地面に腰を下ろした。
グリード「助かった〜。それよりコイツなんでこんなところに急に現れるんだ」
リーナ「魔法が使えないなんて本当に死ぬかと思った。私たちの魔力を使って召喚されたように見えたわ。」
謎の声「その通りだよ。侵入者の魔力量によって相応のモンスターが召喚されるように、トラップが仕掛けられていたんだ。でもマグボアが召喚されるなんて君たち結構やるね。」
「誰の声?」
謎の声「僕だよ。クリスタルの中だ。」
声の方を見ると、祭壇の上のクリスタルの中には白い獣が眠っている。
謎の声「その鍵で早く封印を解いてくれ」
リーナ「鍵って・・これ?」
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