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【第2話】俺は巨大トカゲを黙らせる

謎の足音、トーリの前に現れたのは・・?


ドスンッ、ドスンッ、ドスンッ、ドスンッ、


木々を薙ぎ倒して何かが近づいてくる


さっきまで水辺で休んでいた生物たちも慌てて逃げてしまった。


「このでっかい足音はマンモスか何かかな〜」


ドスンッ、ドスンッ


目の前に現れたのはドラゴンだった。青い鱗を持ち、鋭い目つきでこちらを睨んでいる。

まさかこんなに早くドラゴンに遭遇できるなんて異世界にはワクワクが止まらない。


「ちょっと怖いけど俺が何もしなければ攻撃してこないよね?」


俺は焚き火に手を充てながら、じっくりと眺めた。ドラゴンにしては小さく見えるがその存在感は圧倒的だ。


「かっこいいな〜」


呑気に観察していると、ドラゴンは大きな鳴き声で威嚇してきた。その風圧と唾でせっかくついた焚き火が消えてしまった。


「なんてことだ…」


俺はドラゴンに威嚇されたことよりも、焚き火を消されたことに対して怒りを感じた。

こないだの迷惑キャンパー達を注意できなかった時に自分に誓ったんだ。次はどんな相手だとしても注意すると。


「俺の憩いの時間だけは邪魔しないでよ」


ドラゴン「グルルル・・・ギャオォォォ」


「邪魔・・するんだね」


キャンプの邪魔をされた俺は気がつくとドラゴンに向かってジャンプし思いっきりドラゴンの顔を殴りつけていた。

俺の異世界での記念すべき一発目。ドラゴンは地面に叩きつけられ、そのまま気絶してしまった。

ドラゴンってこんなに弱くていいのか・・?

いや、そんなはずない。そうだ。こいつはきっと羽の生えたただのトカゲだ。


「…また1から火起こしだ」


「でも異世界初のキャンプ飯を早速ゲットしたぞー!!」


再度火起こしをしながらトカゲを何料理にしようか考えていると先ほどの女の子が驚いた表情で近づいてきた。


トーリが着火している音「チッチッチ」


「す、すごい…ドラゴンを一撃で倒すなんて…」


「しかも素手で」


少し俺のことを警戒しているが敵意は無さそうだ。


「ただ、キャンプの邪魔をされたくなかっただけだよ(この子も勘違いしてるのか?あれはトカゲだろ?)」


女の子は感激した様子で俺にお礼を言った。


「ありがとう、魔力切れの状態でドラゴンに襲われていたの。本当に助かったわ」


「あなた名前は?」


俺の名前か。山田剛って名前は元から気に入ってないし、こっちの世界では心機一転新しい名前を名乗ろう。コードネームの「トーリ」は気に入ってるから、、


「あ・・・」(手に持つ火打ち石を見て)


「俺はトーリ・イグナイト。キャンパーだよ。」


イグナイトって発火するとか点火するって意味だよな。我ながら良い名前だ。


「トーリね。よろしく!キャンパーって何の職業?まあいいわ。とにかく本当にありがとう。私はリーナ。この辺りでダンジョンを探して冒険している魔法使いよ」


「何かお礼をさせてちょーだい!」


異世界に転生してまだ数時間、こんな俺だけど早速キャンプ友達ができそうだ。

ちょっと緊張するが早々に可愛いヒロイン候補に出会うことができた。

しかも憧れの魔法使いだ。


「じゃあ、魔法教えて欲しい」


リーナ「魔法使えないの・・?さっき魔力を拳に纏ってドラゴンを殴ったんじゃないの?」


「ん、魔力ってどう出すの?」


リーナ「確かに今のあなたからは魔力を一切感じないわね。」


「じゃあ俺・・魔法使えないのか?」


リーナ「というかそんなことも知らずにこの危険な森で過ごしてたわけ?」


「この森危険なのか。それより異世界転生といったらチート能力を授かったり、強力な魔法が使えるだろ普通・・」


リーナ「でも魔法が使えなくてもドラゴンを一撃で倒すくらい強いじゃない」


「いやいやあれはトカゲだし、少し鍛えている男ならあれくらい当たり前だろう・・」


リーナ「トカゲ・・ドラゴンのこと?」


もう面倒くさいからドラゴンということにしておこう・・

それよりこれは人生初の2人キャンプのチャンスじゃないか?!緊張するけど誘ってみよう。


「とにかく俺は静かにキャンプがしたいんだ。今からこいつを食べるけど、君も一緒にどう?」


リーナ「リーナでいいわ。私も疲れたし、あなたといるのなら安心だわ。(やったードラゴンなんて滅多に食べられない!!)」


リーナ「じゃあ火をつけるわね」


リーナの掌に炎が現れる『ボオォッ』


「うわー何する気だ〜っ」


リーナ「なによ。だって火が消えてるじゃない」


「焚き火っていうのは苦労して小さい火から大きい火を育てていくのが醍醐味なんだよ」


リーナ「魔法使ったほうが早いじゃない。あなた魔法使えないから分からないのね。」


「魔法って便利だけど、俺使えなくてよかったかも。あとやっぱり・・ソロキャンプの方が良いかも。」


こうして俺は魔法使いのリーナと出会い、人生初のデュオキャンプをすることに。

少しツンツンした子だが悪い子じゃない。焚き火をしながらこの世界の話をたくさん聞いた。


お転婆ヒロインと早速出会えたトーリだが、これからはちゃめちゃな展開に巻き込まれることになるとはまだ思ってもいなかった。次回はリーナから「とあるお願い」が・・?

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