【第9話】ダンジョンのボスでジビエキャンプ飯
果たしてマグボアの味は美味しいのか?!そしてフェンリルがトーリを待っていた理由は・・?
「その前に・・お腹が空いたな」
フェンリルが倒れているマグボアを見つめ、ヨダレを垂らしながら言った。取れそうなくらい尻尾を振っているその様子は愛らしく、昔実家で飼っていた犬を思い出した。
リーナ「でもあんな硬そうな怪物、食べられるの?」
フェンリル「もちろん!!ものすごく美味しいんだよ!!さすがの僕でも皮膚は食べないけど、お肉はすごく柔らかいんだ!」
グリード「食べたことあるって、じゃあやっぱりお前めちゃくちゃ強いんじゃん!!」
フェンリル「あんなやつ楽勝だよ!それより早く食べようよ〜」
グリード「楽勝・・・はい、早く食べよう!!!(絶対逆らうのやめよ・・)」
「よし、じゃあこのままダンジョンでキャンプにしよう」
キャンプする場所は大自然であればあるほどワクワクしたものだが、ダンジョンでキャンプなんて普通できないしこれはこれで良いな。よし、まずはマグボアの皮膚を剥いで肉を切り分けよう。
てかこの溶岩でできた皮膚で焼き台とかピザ釜とかを作ったらめちゃくちゃ良さそうだな。いつか火山地帯に行ってピザもやろうっと。
「ドン、ガシッ、ガンガンッ(焼き台を作る音)」
「よし、マグボアを解体している間にリーナはこの焼き台で火起こしておいて」
リーナ「はーい!」
「あ、魔法は禁止だよ〜」
リーナ「うっ、わかったわよ」
グリード「おれも切り分けるの手伝うぞ〜」
「ありがとうグリード!」
「ザクッ、ザクッ、ザクッ、ザクッ」
「チッチッ(火打ち石の音)」「ボォオ」
フェンリル「みんな手際いいね〜!楽しみだな〜!!」
「よし、巨大イノシシBBQの準備完了だ!!」
「ジュ〜〜(肉を焼く音)」
「よし、焼き加減も完璧だな!食べよう!」
全員「いただきまーす!!」
「ガブッ」「パクッ」
日本で猟師さんに譲ってもらっていたイノシシもすごく美味かったが、これが異世界のイノシシ・・・美味しすぎる。普通のイノシシは多少の臭みの中に旨みが凝縮されていて、筋っぽさと噛み応えがあった。だがこのマグボアはとにかく柔らかく臭みが一切ない!!おそらく溶岩のような硬い皮膚に覆われていて防御力が高いから運動能力が下がり柔らかく上質な肉質なのだろう。
フェンリルが目を輝かせながら言った「美味しいね〜!!ねーねーぼくたくさん食べてもいーい?」
「もちろん!なんたって500年ぶりのご飯だもんね!」
リーナ「そうよ。たくさん食べてね」
フェンリル「わーい!!ガブッガブガブッ」
フェンリルの満足げな顔を見て俺たちもつい笑みがこぼれる。
そのまま焚き火を囲んで、ダンジョン内でゆっくりと時間を過ごした。
リーナがふと思い出したようにフェンリルに尋ねた。「そういえば、さっき言ってたトーリを待っていたってどういう意味?」
フェンリル「正確にいうと僕はある人物を待っていて、それがトーリかもしれないんだ」
リーナ「随分抽象的ね」
フェンリル「ラグナロクは知ってるね?」
グリード「世界が滅ぶ終末の日・・」
フェンリル「この世界が発展していくと数千年から数万年に一度起こると言われている世界大戦、全てを無にすると言われるこのラグナロクを神々も魔王たちも恐れているんだ」
リーナ「それがトーリと何の関係があるの?」
フェンリル「最高神がこのラグナロクを防ぐ方法を求めて知恵の泉で得た情報だと、ラグナロクを防ぐ鍵はどうやら異世界から呼んだ戦士みたいなんだ」
この世界にとっての異世界だから、俺が元いた世界とかのことだよな。
「いやいや、俺は戦士じゃないしただのキャンパーだよ。それになんで俺が異世界から来たってわかったの?」
フェンリル「なんとなく!ただの勘だよ!」
リーナとグリードもフェンリルの言葉に驚きの表情を浮かべていた。
それよりなんだか大事に巻き込まれそうな雰囲気だが、俺は騙されないぞ。命懸けで働いていた傭兵団を辞めたタイミングでたまたま異世界にきて、異世界中でキャンプに明け暮れると決めたんだ。
邪魔するものは倒すが、俺はただキャンプを楽しみたい。
「よし、グリードよく聞いて。世界を救うのは俺ではなく君だ」
グリード「え・・俺かな!!」
リーナ「あんたバカなの?!今の話聞いてた?!それにいくら進化したとはいえゴブリンな訳ないじゃない!!」
グリード「それは種族差別だぞアネキー!!」
フェンリル「そうだね。僕の勘でまだトーリだと決まった訳じゃないからね。それよりお肉おかわりー!」
「はいよー!!」
フェンリル「わーい!」
こうして俺たちはフェンリルを新たなキャンプ仲間に迎えてダンジョンでの焚き火を楽しんだ。
初めてのダンジョンキャンプと異世界ジビエを堪能したトーリ。
次はどんなキャンプが待っているのか・・!
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