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8…記憶喪失②
「………記憶………喪失?」
少年はまだ自分の身に何が起こっているのか分かっていない様子だ。いや、実際には分かっているのだろう。自分がその情報を受け取ろうとしないだけだ。
「そうだ」
そんな少年に外套の男は無慈悲にも告げる。事実だ、と。外套の男の目はうっすらと嘲笑っているようにも見えた。少年はそんな外套の男に怖気付き、それ以降口を開かなくなった。
♦︎♦︎♦︎
「これが何か解るか?」
外套の男に連れられ、少年は森を抜け、平原に出た。そして平原には瓦礫の山が築かれていた。少年は首を横に振る。解らないのだ。
「そうか」
外套の男は少し残念そうに言ったのだった。