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7…記憶喪失
「……ッ!」
少年は目覚めた。少年は木々に覆われており、少し薄い毛布を被されていた。少年にはここは見覚えがあった。ちょうど昨日外套の男と出会った場所だ。
「なんで」
「なんで僕はここにいるんだ?」と言おうとした口をすぐにつぐんだ。外套の男が猪の魔獣を背負ってやって此方に来たからだ。その手には木の枝も持っている。
「おはようーーー君。ご機嫌は如何かな?」
少年には外套の男に言われた自分の名前が上手く聞き取れなかった。考えてみれば、起きてからずっと頭痛がする。
「悪い。良いわけがない」
「そうかぁ」
取り敢えず少年は頭を掻きながら正直に言った。付け加えて自分の名前が聞き取れないとも。
「え? 何言ってるんだい?君の名前はーーーだよ」
外套の男が少年の名前をもう一度言った。少年は聞き取れない。外套の男は察し、バツの悪い顔をした。
「解るかい? 何故自分が此処にいるのか」
「解らない」
「………………」
続けて外套の男は冷たい声でこう言った。
「やはり間違いないな。君は記憶喪失だ」