45…竜と人が壮絶に争う完璧な世界
またいつか
「始まったか」
ラテーノはボソリと呟いた。窓の外を眺めながら。とは言っても、今帝都にいるラテーノにはどうしようもない事だが。始まったのだ南部戦線の戦いが。
今、ラテーノの仲間の竜殺者ギルドの人々が戦っている事だろう。自分たちの家族を守るために。そしてそこには恐らく……オストとアルベルトの二人もいる。
勝って欲しい。そして、これからのギルドを率いる竜殺者として、成長して欲しい。それがラテーノの願いである。
ラテーノは、手に持つコップの中に入っているお茶を一息に飲み込んだ。
♦︎♦︎♦︎
[南部大戦線]
そこは修羅場になっていた。帝国兵と竜殺者と、竜が入り乱れて、乱戦状態になっていた。竜の火炎放射によって、地面の草が燃えて、地獄絵図の形相だ。
「オスト!」
「わかっている!」
ーズバー
竜の首がオストの一振りで落とされた。フェルニゲシュを殺すと誓ったあの日からの、修練の賜物である。そのオストの様子を見て、アルベルトは、
(剣戟が以前とは大違いなほど練り上げられている。彼の実力は、隊長クラスに届くかもしれない。ボクも負けてられない!)
「【豪華絢爛】」
一瞬にして管を出し、迫り来る竜を絶命させた。アルベルトもまた、圧倒的な強さを身につけていたのだ。
「行くぞオスト!」
「ああ!」
二人は、共に前へと進んだ。
♦︎♦︎♦︎
「……押されているのか。数で有利を取っておきながら。不甲斐ない……。オレが出るしかないか」
その漆黒の竜は、人の目には目視できぬほどの上空で、戦況を観ていた。そして、
「【塞翁失馬】!」
自らも戦場に降りた。彼のものの名はフェルニゲシュ。戦場に降り立った瞬間、フェルニゲシュは、馬を使い、瞬時に100人の帝国兵を仕留めた。フェルニゲシュは無口で進軍する。
オストとアルベルトにトドメを刺すために。
「! フェルニゲシュ!」
「久しいな。オスト!!!」
オストと出会った瞬間、二人は激突した。相手の息の根を止めるために……。どちらかが死ぬまで終わらない戦い。
これが、『竜と人が壮絶に争う完璧な世界』である。
《終》




