35…シグマ
「なるほど、それで人の醜さを知ったフェルは人という種族を絶滅させたい、と言ったところですか」
ファフニールは見透かした様に言った。フェルニゲシュはコクリと頷く。長髪の男は無言だ。
「何度考えてみても、無謀な夢である事は百も承知だ。ファフニール、そして………」
フェルニゲシュは長髪の男に目を向けながら、黙り込んだ。
「シグマです」
「ファフニールとシグマ、私に協力して欲しい」
シグマは顎に手を当て、うっすらと笑った。シグマとしては共感したのか、嘲笑ったのか、どちらとも呼べない表情だ。
「良いでしょう」
ファフニールは快く了承した。フェルニゲシュは簡単に納得してくれた事に驚いている様で言葉が出ない。ファフニールは続けて、
「友達ですからね」
と小声で言った。ファフニールは恥ずかしそうに顔を赤らめた。フェルニゲシュはようやく状況を読み込み「感謝する」と謝辞を述べた。
「で、フェルニゲシュさん、汝はどのようにして人という種族を絶滅させたいのです?ボクとしては、人類を絶滅させるための策は軽く百策は超えますが………」
シグマは訊く。フェルニゲシュは、
「今の人類が絶滅していないのは、竜殺者ギルドと帝国という拠り所があるからだと私は考える。私としてはこの二つを早々に破壊したい。そして、両者を個々に相手取るのは面倒だ。故に、皇帝と竜殺者ギルドが居る帝都を攻め滅ぼす」
「………ほう」
シグマはフェルニゲシュの策に感心したのか、感嘆の息をもらした。
「では、某たちはなにをすればよいですか?」
「ああ、それを今から説明する」
フェルニゲシュはそう言って作戦の説明を開始した。




