28…『三千世界』【開幕】
今回から“『三千世界』暗躍編”開幕です!
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「面白い。では、なんだというのだ?私がそなたに作った借りというのは」
「そうですね。………試しに、貴方の欲しい物をなんでも言ってください」
「ほう」
フェルニゲシュはお手並み拝見とばかりに、長髪の男に無理難題を繰り出した。本当は今欲しい物などない。ただ帝国の為政者を惨殺した。フェルニゲシュはその一心で行動しているのだ。
「では試しに、私のトモダチの場所を教えてくれ」
「わかりました」
「私のトモダチ」フェルニゲシュの友達とは、フェルニゲシュと同じ『十竜貴族』の竜の事だ。しかし、『十竜貴族』は既に、この世の中に4体しか存在せず、フェルニゲシュは封印が解けてから捜索を続けていたが、見つけられなかった。
それだけではない。『十竜貴族』は竜の世界に於いて貴族のごとく権力を振るう竜の総称だ。故に、竜の貴族と組みさえすれば、その名声で多くの竜を配下に収めることができた。
「大変言いづらいのですが、」
「やはりな、わからぬか」
「その問題は予想しておりましたので、連れてきてしまいました」
「そうであろう。……ん?」
フェルニゲシュと長髪の男との話の内容が噛み合っていない。
「待て、今そなた、連れてきた。と言ったか?」
「ええ、確かに」
「誰だ?」
「『財宝の守護竜』ファフニール」
ファフニール。フェルニゲシュがトモダチ認定している数少ないうちの一つだ。フェルニゲシュはその名に懐かしさを感じながらも、にわかには信じがたい様子であった。
「……馬鹿を言え。ファフニールは友である私が探し続けても見つけられなかったのだぞ」
「………ならば実際に出て来てもらいましょう。ファフニールさん」
長髪の男が呼びかけた。呼びかけに呼応し、なんと、ファフニールそのものが現れたのだ。
青と赤が交互に混じり合った髪を持ち、眼は紅色。人のような外見をしており、相当の実力者でなければ竜であると見破れないほど覇気は練り上げられていた。その服装は古代ローマの貴族服のよう。その服には所々に宝石が埋め込まれており、神聖な空気を発生させていた。一見実用性は感じられないが、実は波の刀の刃は折るほどの高性能だ。
「久しいですね。フェル。元気にしていましたか?」
ファフニールはそうフェルニゲシュに愛称で呼びかけた。
「いや、全然だ。なにせ最近まで封印されていて、その上封印が解かれたかと思えば、ラテーノとかいう強者にボコられた。ここまで死に潜りで逃げてきたのだぞ。死ぬかと思った。本当に」
「それは残念ですね。死ねばいいのに」
「…………………………それは少しばかり再開直後にかける言葉ではなかろう」
日常会話である。フェルニゲシュは笑って返し、それにファフニールは同じく笑う。2体の周りをお花畑のオーラが包むのに対し、完全に弾かれた長髪の男は路上の小石、背景、空気に徹していた。
「今回、こちらの男から、君に会いに行け、と言われました」
「それでか」
「君が某を求めるとは珍しいですね。で、何をやれ、と?」
お花畑オーラはファフニールの寒冷化オーラによって凍てつくし、フェルニゲシュはそれに動じず、長髪の男はそれに同調した。
「単刀直入に言おう」
「単刀直入ですか………」
「私に協力してほしい」
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