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15…近衛騎士団のとある騎士

 帝都郊外の城ダハミリがフェルニゲシュに占拠された。それが帝都に久々に届いたダハミリに関する報告であった。この一報を受けた帝国は、できる限り隠密に事を済ませようとした。帝都郊外にある城が一竜に占拠されたという事が広まったら、帝国の威信が関わるからだ。


 朝廷はすぐさま討伐軍を組織し、皇帝の意向により、この討伐軍の中には1人の近衛騎士団の騎士を潜り込ませ、重要な戦力として使うことになった。この騎士の名はグロックス若い男性だ。彼は国立帝国学園を優秀な成績で卒業し、そのまま軍を介さずに近衛騎士団に入団した、まさにエリート人生を歩んできた様な者だ。


 グロックスは今回の討伐軍の一部隊の指揮を任された。大抜擢だ。グロックスはプレッシャーを感じながらも、とても名誉に感じた。


「……気をつけろ。ここから先はフェルニゲシュのテリトリーだ」


 ダハミリ城に入ったグロックスは手で自分の部隊を制しながらわざわざわかりきっている事を言った。通常ならどの兵士かが「了解しました」などと返してくれるのだが、その声はない。

 疑問に思ったグロックスは後ろに振り返ったが、そこには何も存在せず、ただ赤い雨が急に頬に打ちつけるだけであった。


「な、何故誰もいないのだ?」


 グロックスは言葉に表せない程の恐ろしい気持ちになり、辺りを見渡した。すると、目の前に漆黒の人型の竜フェルニゲシュが居たのである。

 グロックスは生唾を飲み込み、無音だった周辺をその音が包み込む。


(全く気配を感じなかった)


 そんなグロックスなど目にも入らないかのように、フェルニゲシュは手を縦に振った。

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