12…中原逐鹿
「あの、ラテーノさん、やっぱり紋章を持っていない事は大きなマイナスポイントになるんですか?」
昔、修行の最中にオストがラテーノに聴いたことがこれだ。ラテーノはこの言葉を聞いた瞬間、予想していなかったようで面目くらった様子だった。オストは目を落としながらその言葉を発していた。
それにしても、実際に竜殺者の中で紋章を持っていない者など存在しない。オストが紋章を持たないままで竜殺者になれる可能性はかなり低いものだった。
この言葉は自らの限界を悟りかけたオストが初めてラテーノに吐いた弱音であった。
「いや、違うよ」
だが、ラテーノはオストの言葉を否定した。今度はオストが面目くらった様子だ。
「じゃ、何が違うんです? この世の竜殺者の中で紋章を持たない人間はいないじゃないですか」
「ふ、ふふふ。やはり気付いていないようだね」
ラテーノは得意げにそう言ったのだ。そして面白い顔芸を披露してくれたのだ。その顔からはとても想像できない小悪魔のような、意地悪な目でオストを見たのだった。
「? 何にです?」
「君は既に紋章を保持している。自覚はしていないがね」
「!? 本当ですか!?」
落としていた目が急に正面を向く。事実かどうか確かめるようにラテーノの目を見た。
「ああ。 どんな紋章か知りたいかい? 知りたいよね」
ラテーノの意地悪な目は真剣な目に戻り、次は早く聴いてほしくてうずうずしている表情に変わった。
「………知りたいです」
オストは素直に本音を言った。
「君の紋章は【中原逐鹿】だ。ここからはあくまでも私の予想なのだが、この紋章の効果は………」
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[今]
ドレイクは自らの誇り高き翼を2度見返す。貫通している。誇り高き翼が。
(何が起きたか分からないだろうな。何故なら僕の【中原逐鹿】の効果は『使用武器の性能を何倍にでも高められる』という効果だ)
ドレイクが気づかないほどの速度で翼を射抜いたのだ。その速度は音速を超える。そこからは圧倒劇だった。
翼を失い陸上に降り、肉弾戦を余儀なくされたドレイクは刀を取り出したオストに蹂躙され続けた。
そして10分後、ドレイクは力尽きたのだった。
オストは力尽きたドレイクにトドメを刺し、その後黙祷した。




