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1…竜の世界
この世界は残酷だ。どれだけ努力しても、圧倒的力にねじ伏せられる。代表例がドラゴンだ。
人間とドラゴンの間には、埋めようのない大きな種族としての差、というものが存在する。人間がドラゴンに勝つなどあり得ない。永年そう思われてきた。というかそれが正しい。
そもそもドラゴンはこの大陸に元来から存在する生き物ではない。事実である。ドラゴンという種族はちょうど隣の大陸からやってきたと云われている。何故か。
そんなもの解らない。これが答えである。それまでドラゴンという種族の脅威に晒されてこなかった大陸の人類は、突如として現れた脅威に対抗できず、一時文明を破壊され尽くした。そして、今、文明が再構築され始めてから数千年経った。
人類は未だとしてドラゴンへの有効的な対策を立てれずにいた。
逆に云ってみれば、弱肉強食。弱き人類は喰われ、強きドラゴンは捕食する。
この世の常をまさに体現した、完璧な世界と云えた。