表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

森は木を見てはいけない。

1日の中に良い出来事は5万個ある。

これは私が勝手に作ったでたらめだ。

でもそう思い込んでいる。


今日起きてから今まででもいくつ「良いこと」があっただろう。


朝、目覚ましより早く起きれた。

カーテンを開けると涼しげで朝日が気持ちいい。

顔を洗い歯磨きをすると、さっぱりした。

ソファに座ってゆっくり白湯を飲むと身体の内部がポカポカするのがわかる。


いくらでも「小さな幸せ」は見つけられる。

要は、見つけようとするか否か。


悲観的になろうと思えば汲めども尽きぬこんな世界、

物事を全て楽むくらいの心意気でないとやっていられないのだ。


このような気持ちになったきっかけは、

随分前に遡る。私は自称潔癖症だった。

しかし、ある日気づいてしまった。

「自分もそんなに綺麗じゃない」ということを。

その瞬間、魔法が解け、目の前の景色が崩れ落ちるような感覚になり、ひどいショックを受け泣いた。


どうして泣いているかなんて、

一言で表せる簡単なものじゃない。


ビックリした衝撃で泣き始め、

泣いてることに気づいて必死で堪えようとして込み上げて来て、

こんなことで泣いてる自分に悔しくて、

今までの自分や今まで誰かに言われた言葉を思い出して嫌気がさして、とにかく泣いた。


何度かのピークと「追い涙」が落ち着くと頭がとても冷静になり。思った。


涙が出れば拭けばいいんだ。


周りを汚物扱いするのではなく、

汚物の自分を清潔にしよう。


そこからの私は変わった。

新たな魔法にかかった気分だった。


誰かじゃなく私が思う「きれい」になろうと。

見た目の話じゃない。心や行動、生活に対してだ。


待ってても、悔やんでも被害者面してても仕方がない。

「自分から幸せに飛び込むこと」

これが今のところ行き着いた答えだ。


誰かのせいにしない。

目の前に起きた出来事は全て私が招いた結果だ。


その選択と結果の積み重ねの状況、環境でどれだけ快適に過ごすかが私の人生だ。


1日の中に良い出来事は5万個ある。

これは私が勝手に作ったでたらめだ。

でもそう思い込んでいる。


今はバスに乗ってママ友たちと山奥のおしゃれなカフェに向かっている。

普段なら誰かが車を出して来るようなところだけど、

運動がてらバス停から30分ほど歩く予定だ。


約束の前日の用意はとても楽しい。

動きやすい靴、歩く前のストレッチ、

身体に負担の掛からない歩き方を事前に調べておいたので実践する。


もちろん今も、これから先のことを考えても、とてもわくわくする。

バスの中の会話もみんなの近況が知れて良かった。


靴紐を締め直してみんなで歩き出した。


この時期の空の遠さ、太陽の傾き、

あの鳥は、あの木はなんだろう、

草が青々していて、花が綺麗。

みんなペースに着いて来れているかな、

カフェはどんなメニューなんだろう。


下を向いて歩くことだけに集中しても目的地には着くけど、

周りを見てみれば新たな発見や楽しくなれることがいくらでもある。


呼吸が少し苦しくなって、

オーバーかもしれないけど生きていることを実感した。


ちょっと疲れて来たね、休憩しようか。

そんな話をしていると目的地のカフェが見えて来た。

途端にみんな元気になった。


そこから数分で着いた。

カフェの扉を開けると店員さんに席へと案内され、おしぼり、お水、メニューを渡してくれた。


私はオススメの週替わりのワンプレートランチを注文することにした。


ここは焼き立てのパンが食べ放題らしい。

何人かのママたちが元を取るぞと意気込んでいて楽しそうだ。

そこから話題はとあるママのバイキングでの子どもの失態の話になっていった。

微笑ましい話に私は相槌を打ちながら心の中でこう思った。


「私はもう元が取れている」


お金がかかるのは食材だけじゃない。

おしゃれな建物、おしゃれなテーブル、椅子、

窓から見える外の景色もとても綺麗。

素敵な接客、調理する手間、頼めばご飯が出て来てお皿洗いもせずに帰っていいなんて、

そしてみんなとこうやって楽しくお食事が出来ることに注文した料理がまだ来ていないにも関わらずもう満足した気分になっている。


料理を運んできてもらい更に驚いた。

大きなプレートの上に小鉢が乗せられていて色鮮やかでどれもとても美味しそうだ。


料理はもちろん、

沢山歩いて、素敵な空間で、みんなとこうやって食べれることが美味しさを2倍3倍にしてくれている。


趣味や好きなことは何かと聞かれると、

料理、食べること、食べ歩きと昔は言っていたけど間違っていた。


誰かのために作る料理、

誰かと食べる料理、

誰かと一緒にする食べ歩きが私は好きだ。


人と共有したり人を想えることはとても素敵なことだ。

こちらの喜びが相手からも返って来たら更に嬉しい。


気持ちは一方通行であること、

相手に何も望まないこと、

踏み込みすぎないようにすること。

これを常に意識して、

明日も笑えるようにこれからも過ごしていく。


それにしても今日はとても楽しかった。

早く寝ないと疲れが残るからやらないといけないことを先に片付けないと。


少し腰が痛い。

やれる予防はしていたので仕方がない。

明日起きても痛むなら病院に行こう。


もういい歳だし、

今日まで痛まなかったのがよく持った方だ。

腰をさすりながら負担させていたことへの謝罪と感謝を述べた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ