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ムクドリの日和見

とりっくおあとりーと!

おかしくれなきゃいたずらしちゃうぞ!

おかしくーだーさい!


弟がはしゃいでいる。楽しそうで何よりだ。


この時期は各家、公共施設や商店街など町全体がカボチャやイルミネーション、おばけの装飾や仮装でハロウィン一色になる。


そしてハロウィン当日の今日はおばけカボチャを前に置いている家のインターホンを鳴らして合言葉を言えばお菓子が貰える。


町内会の人たちが、また今年も用意しないといけない。

そんな不満を漏らしながら準備している光景をここ最近の土日によく目にしていた。


はじまってしまえば子どもの喜ぶ姿に大人たちも笑顔で楽しそうにしている。


そういう自分も弟の後ろから着いて行くだけで同じようにお菓子がもらえるので満更でもない。


しかし各家を回っていると、

年々、おばけカボチャを飾っていない家が多くなって来ている。


廃れて行くんだろうな。

持続、継続というのは難しいというのがわかる。


後ろでそんなことを思ってるとは知る由もなく弟は次から次へとおばけカボチャの飾っている家を探す。


家それぞれの空気感がある。


「この家はやめておこう」と、弟に言って聞くわけもなく、

平気でインターホンを鳴らす。


あの家は嫌だな、

金に物を言わせた「見栄の家」


あの家も嫌だな、

こちらがお菓子を渡したくなるような「質素な家」


あの家も嫌だな、

うちの家族は仲がいいですと言わんばかりの「アピールの家」


あの家も嫌だな、

子どもが引いてる「親だけが張り切っている家」



何件も回っているのだからそういう家があっても仕方がない。

あまり何も思わないようにしよう。

あくまでも、弟の付き添いだ。


友達からの誘いを断る口実が出来てよかった。


同級生の半分くらいは、わざわざ電車を乗り継いで都会に行き、仮装姿で歩き回っている。

ニュースになるほど毎年たくさんの人が集まり、

未成年の飲酒、性犯罪、スリや暴行事件など後を絶たない。


みんなSNSのネタのため、明日の話題に乗るため、

ハブられないため、

スクールカーストで下にならないように、

流行、ノリに着いて行き見栄を張るのに必死だ。


何が楽しいか、

何が無駄かは全て本人の問題だ。


しかし、見てて苦しくも見える。


大勢で集まり1日の中で、

1番盛り上がる話題は、誰かの悪口。

1番笑ったのはSNSに載せる写真撮る時。


学校以外でもネットを通じて見栄、嫌味、マウントが垣間見れる頭脳戦が繰り広げられている。


匿名の書き込みで名指しで誹謗中傷があったり、

解読班や探偵気取ってあのヒステリックな裏垢の正体は誰々じゃかいかと、噂を広めるやつもいる。


親の前、学校、塾、バイト先、恋人、友だち、インターネット、

みんな様々な顔を持ち合わせて側から見ていると毎日が仮装パーティーのようだ。


みんな、自分のことで必死だ。


ハロウィンに限らず、

イベントには宗教上などの風習や習慣、

理由があって行われているはず。


忘れられないように、

時代とともに風化しないように、

子どもたちへ楽しい思い出と一緒に継承するために考えられてきた特別な日を今では若者やいい大人たちが騒ぎたいためだけの日になっている。


子どもではないと自覚し出した今は、


クリスマスはケーキの日じゃない、

お正月はお年玉の日じゃない、

バレンタインはチョコの日じゃない、

母の日はカーネーションの日じゃない、


企業案件の日でもない。

節分は恵方巻きを大量廃棄する日じゃない。


そもそも、

記念日だけ思い出すのは意味がない。


母の日も、

「母の日だからありがとう」

じゃなくて、

「いつもありがとう」を伝える日だ。


いつでも当たり前が当たり前じゃないと思えるようにならないと。

この前もお仕事先の上司の愚痴ばかり言っていたお母さんに嫌気がさして強く当たってしまったけど、

反省しよう。

言い方、相手の捉え方をもっと考えよう。


これからは毎日を丁寧に生きないと。


とりあえず帰ったら貰ったお菓子を家族で分けて、食べながら勉強しよう。

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