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この惑星の願い     エピローグ ~ 姿なき出現 ~   エピローグ ~ 小さな戦闘 ~


この惑星の願い  ~ 人間の正しい扱いかた ~




エピローグ ~ 姿なき出現 ~



人口が百億人にもなれば、かなりの不具合が起きても誰もが納得して何も言わないだろう。


そんなものは当然だと思っていたのは、もちろん一握の砂の中の数粒だ。


メディアは連日誰かのせいにして糾弾し、大雨や台風、猛暑、豪雪対策に唾を飛ばして政治家を糾弾する。


そして多くの人類は不安に駆られ、犯罪が至る所で勃発。


とにかく何かをしておかないと、明日にはこの星がどうにかなってしまうのではと、星の人口の八割が思い、そして、『長いものには巻かれる』『集団心理』を発動して、誰よりも理性があると思っていた有識者ですら、目の色を変えてよからぬ犯罪行為に走り始めた。


そんな中、輪をかけて、ウィルスによるパンデミックが始まり、なんと、感染すればほぼ即死という、状況的に判断できる事態に陥った。


そのパンデミックは津波ように人々を襲ったが、いきなりの引き潮のように、あっという間に収まった。


だが、世界の総人口の一割もの多くの人々が命を失った。


さらにはその余波で、処理し切れなかった遺体から、不衛生によるパンデミックが起こり、人類はなすすべなく、さらに十億人もの多くの人々を失った。


それがようやく落ち着いてきたのが、その十年後だった。


この十年間、文明文化は停滞したが、進歩の準備はできていた。


そしていざ手広く合理化の道を歩もうとした時、未知の現象が起こった。


それは、かどわかしだった。


一人ふたりであればニュースにもならないのだろうが、国の大半の人民がいなくなれば誰だって脅威に思うだろう。


この星での第二の大国である、オリハ国の代表以下、特に軍事に関わっていた者たちを中心にして忽然と姿を消したのだ。


さらには、大きな都市を中心にしたかどわかしが勃発。


一億五千万人いたこの国の人口は、一千万人にまで減少した。


各国の経済的権力者の集まりの世界自然保護協会WNAは調査団を派遣した。


そしてメディアにもすべての情報を流して、星中にこの異常事態を知らせた。


しかし、喜んでいる国もあった。


このオリハ国が宣戦布告もなしに隣国のモロイ国に攻め込み、その結果、大きな戦争となって、双方合わせて二十万人もの命を奪っていた。


オリハ軍の攻撃がいきなり止んだことで、モロイ国はオリハ国に攻め入ろうとしたが、WNAが武力の盾において止めた。


もちろん、勝者は不戦勝のような形でモロイ国に決まったのだが、軍人ではないオリハ国民がいる。


無謀で無産で無残ともいえる略奪や蹂躙的な行為を避けるためだ。


しかも当然のように、このような悪辣非道なまねは、オリハ国が散々繰り返したこともあり、やられたらやり返すを発動しようとしただけだ。


「あんたらがこれからやろうとしていることを

 オリハ国軍は数々の戦争の中で何度もやってきた!

 あんたらもそのような悪と同類となるのか?!」


まさに説得力のある言葉だった。


よってここは、WNAが勝者に大金を渡して納得させた。


だが納得いかないのは、各国の政治家の代表の集まりの、国際安全連合ISFだ。


だがこの時、さらに不幸な出来事がじわじわと勃発していて、ISFが機能しなくなったのだ。


それは各国の代表者が忽然と消え始めたからだ。


よって、オリハ、モロイの件はマスコミの後押しもあって、かなり良心的にWNAによるオリハの保護が始まっていた。


オリハ国の辺鄙な場所で暮らしていた人々は、比較的過ごしやすい場所に移住して、誰もいなくなったオリハの大地は、なんとWNAが買い取ったのだ。


オリハ国は人口一千万の小さな国となったのだが、それほど異議はなく、誰もが大金持ちとなった。


将来のことなど考えなければ、使い切れないほどの大金を手にしていた。


さらに異常事態は進み、気づいてみれば、年齢が七十才以上の高齢者といわれる人々が皆無となっていたことに、人類はようやく気づいた。


初めての大きなパンでミックが起こってからこの日までに、総人口百億人が五十億人まで減少した。


そしてまだ人が消える事態は止まらない。


次々に高齢者が姿を消し、この事態を検証しようとした団体すらも消えてしまったので、誰もこの件には手を出さなくなり、話題にもしなくなっていった。


そして気づいてみれば、なぜだか大きな病院がすべて閉鎖され、薬局なども閉店に追い込まれていた。


さらには、高齢者がいなくなったことと、身体障害者が年齢に関係なく消えてしまっていたことで、数多くあった介護施設もすべて閉鎖となっていた。


しかし、一部の町医者は開院しているのだが、ほとんどが怪我や食あたり程度の症状で、重病にかかる者、特に風邪などのウイルス系の疾患やアレルギー系疾患が皆無となっていた。


そしてわずかに残った長期になるであろう重病人が、忽然と消える事態も時折起こっている。


このようにして、始めのパンデミックから百年経った現在、この星の人口は当時の十分の一の十億人となっていた。


一体この星に何が起こったのか。


マスコミは事情に一番明るいであろう、WNA代表のケン・イシザワにインタビューを敢行したが、「皆目見当もつきません」というコメントしかもらえなかった。


当然、WNAもまったく伺い知らぬことだったのだ。




ただ、ひとりを除いては…





エピローグ ~ 小さな戦闘 ~



「いってえな、このやろーっ!」と少年に近い男性は叫んで、まさに痛そうにして右腕を勢いよく振ったが、この男性が怒りを込めて叫んだ相手はさらに痛手を負っていて、今は勢いよく地面を転がっている最中だ。


ようやく転がり終えた男は、目が回ったようで、朦朧としていて、「…なぜだ…」とつぶやいた。


そして何とか逃げる算段をしたのだが、体が思うように動かない。


まるで血液が右半身にだけあるような錯覚に見舞われた。


とんでもない勢いで回転したことで、血液がたまりやすい場所にたまってしまったからだ。


しかしこれは自業自得で、痛がっている男性のせいではない。


そして朦朧としている男は、術が使えないと判断した。


それは体の血流の悪さにより、集中できないからだ。


しかし、さらにこの男にとって最悪の事態となった。


鏡のような板がこの男を覆って、立方体となり、中は暗闇となった。


「…大人しくしてな…」と男性は言って、ようやく痛みが引いたのか、最後の一回として右腕を振って下におろした。


「よう、世間話をしようぜ」


男性の言葉に、男は何も言わなかった。


言わなかったが、すぐさま口を開くことになる。


「ケイカンに接触しても何も話すな。

 そして、相手に何を言われても信用するな。

 お前たちは我の話だけを信用せよ。

 今までに我は真実を見せ、みなを納得させてきた。

 よって、お前も我の言ったことを信用するのだ」


男性の言葉に、「…な… なぜ、それを…」と男は狭い牢獄の中で呟いて、意味がわからず頭を抱え込んだ。


一時は、この男性を仲間だと考えたが、開放する気配はないし、世間話をしようなど、ふざけたことを言って来た。


「あ、俺って、正式にはケイカンじゃないから。

 だから、普通に話をしてくれていいぜ」


男性の少し陽気な言葉に、「…だったら、余計に」と男が言ったとたん、「仲間は三人だ。そしてお前だけが真の目的を持って、WNAの品葉出張所に忍び込み、情報を根こそぎ吸い上げるのだ」と男性が言うと、「…ああ…」と男は嘆いた。


「あ、あんたの司令官はうそを言っている。

 攻め込んできたのはあんただけ。

 ま、一応偽装したあんたの仲間のようなものはいたが、

 罰当たりにも動物様を使った卑怯な手を使っていたんだ。

 あ、別に信用しなくてもいいさ。

 あんたは拷問を受け、

 強制的にすべてをしゃべらされて国外追放だから。

 そして、あんたは作戦失敗と、

 敵国にすべてを話した裏切り者として、

 あんたの司令官はあんたを殺すだろう」


「まっ! 待ってくれ! 亡命する! 知っていることはすべて話す!」


男は慌てて叫んだが、男性は男の話を聞いていなかった。


男性は口元に右手の小指を当てて、「捕まえたぜ」と言った。


『あら、今回も早かったわ!

 デートができるのはうれしいけど、

 これじゃ時給の半分しかもらえないわ…』


女性の嘆く声が男性の耳元に聞こえた。


「解決したんだから成功報酬がもらえるじゃないか。

 前回のように空振りじゃないから、

 ある程度は金持ちだぜ」


『そうそう! そうだったそうだった!』


「早いとこバンを持ってきてくれ」


『了解!』と女性は勢いよく言って、通信は切れた。


「…はあ、やれやれだ… …やっぱ、まだいって…」と黒装束の男性は言って、また右腕を振った。


「先輩! お疲れ様でした!」とバンを運転してきた、まさに見た目も何もかもごく普通の作業着姿の少年が言って、バンの天井にあるクレーンを操り始め、黒い立方体を固定して、バンに収納した。


「成功報酬っていくらなのですか?」と少年がきらきらした目で聞くと、「それがな、毎回違うんだ…」と男性は言って眉を下げた。


「へー… そうなんですかぁー…」と残念そうに言ったが、「あ! 予想としてはどれほどだと思います?」と少年が興味を持って聞くと、「まあ、今回の場合はかなり痛かったし」と男性は言って、少年の意識が飛ぶほどの金額を言った。


「じゃ、帰ろうぜ」と男性は言ってバンに乗り込むと、「…はあ… 運転手、早く卒業したいなぁー…」と少年は肩を落として嘆いた。


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