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ただの雑草かと思ったら……
「さて、始めますか」
作業着に着替えた私は目の前の雑草を見ながら気合を入れた。
「風魔法! 風斬り!」
私はそう言うとつむじ風が吹き、雑草をバサッバサッという音共に切っていく。
あっという間に雑草の山が完成した。
「切るのは良いけど……、処分するのが大変なのよね」
雑草の山は取り敢えず倉庫へと運んだ。
干せば干草になるだろうし何かしらの役には立つだろうし。
「あれ? 切れてない草があるわ」
一箇所だけ草が生えている場所があった。
「これはもしかして薬草? 風斬りで切れなかったという事は特別な草かもしれないわね」
魔法で切れなかったのなら相当根が深いのだろうか、と思ったが手で抜いたらあっさりと抜けた。
一房だけ持って自宅に戻り図鑑を取り出し調べた。
「やっぱり薬草だわ。しかもかなり高価な奴じゃない」
この草はかなりレアな物で本来なら自然豊かな所で無いと育たないらしい。
ここは確かに周りは森ばっかりだけど……。
これ、上手く育てれば強力な資源になるかもしれない。
私は少しだけこの土地に希望が持てた。