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悪役令嬢の隠居ライフ  作者: こうじ
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市場に参加しました

 隣の領地にやってきた理由は勿論、市場に出店する為だ。


 因みにセイラ様はお留守番で今回は私一人である。


 まぁ、土地神様が現れたらちょっとした混乱も起こるだろうし国に気づかれたら厄介な事になる。


 身なりも目立たないように地味な服装にしてきたので元公爵令嬢とは思われないだろう、ていうか貴族令嬢が一人でリヤカー引きながら野菜を売りに来るとは思う訳が無い。


「ここが広場ね」


 市場の会場となる町の広場には既に準備が始まっている。


「まずは受付しないといけないのよね……」


 私は受付で自分の名前を書いた。


「エウレアさんですね、市場に参加するのは初めてですか?」


「えぇ、初めてです」


「初めての方には手引きを差し上げていますのでこちらを読んでください」


 受付から手引書をもらい指定された場所へ向かう。


「ここが私の場所ね」


 まずは野菜を並べ、次は値段付けだがこれが一番の問題だ。


 なんせ市場で野菜なんて買った事が無いので相場がわからない。


 が、ここで手引書が役に立った。


「なるほど、最初は銅貨数枚で売ればいいのね」


 庶民が主に使うのは銅貨か銀貨だ、金貨なんて滅多に出ない。


 私は値段設定を銅貨2.3枚とした。


 味には自信があるしきっと売れると思う。


 そして時間になり市場が開かれた。


「美味しい野菜はいかがですか〜? 試食もできますよ〜」


 人生で初めての声掛けだ、凄く緊張している。


 でも、まずはお客さんに来てもらわないといけないので必死である。


 そのかいあって数分で最初のお客さんが来た。


「色合いは良いね、このトマトをいただこうかしら」


「ありがとうございます! 銅貨1枚となります」


「あら、安いわね〜」


 やはり1人来ると流れるようにお客さん達がやってくる。


 そして市場が終わる数分前に野菜は見事完売した。


「つ、疲れた〜……、でもお金を稼ぐって楽しいわね」


 これから定期的に出店していこうと決意した。


「エウレア嬢、お疲れ様」


「あっ、レイシル様」


 閉店準備中に声をかけて振り向いてみると現れたのは私の数少ない友人でこの領地の領主の子息であるレイシル・アーマイト様だった。


「わざわざ来ていただいたんですか、ありがとうございます」


「いやぁ、だってあのエウレア嬢が市場に参加する、なんて信じられなかったから様子を見に来たんだけど……、問題はなかったみたいだね」


「えぇ、好評でした」


 私はグッと親指を立てた。


「そっか、心配は杞憂だったね」


 そう言ってレイシル様は笑った。 

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