決着はついたようです
「そういえば何か用かしら?」
「あぁ、そうでした。旦那様がお越しです」
「お父様が? すぐ行くわ」
私は慌てて焚き火を消して屋敷に戻り居間へと向かった。
「おぉ、エウレア元気だったか?」
「えぇ、こちらに越してからは毎日充実しておりますわ」
「そうか、やはり婚約はするんじゃなかったな。父の浅知恵だった、すまんな」
「いえいえ、ところで何かありましたか?」
「うむ、ある程度の決着がついたから報告をしようと思ってな」
「どのような決着がついたのですか?」
「まずあの場での婚約破棄は殿下が勝手にやった物で王家としては婚姻を引き続き、とお願いされたが公の場での出来事で行われた事でひっくり返す事は困難である、と言ってそのまま解消となった」
「お父様、泣かせてはいませんよね?」
「……」
無言という事は泣かせた、という事だ。
この国でお父様ほど弁が立つ人はいない。
他国との交渉でも言葉巧みにこちら側に有利な条件に持っていく事から交渉人として重宝されている。
頼もしい味方ではあるんだけど敵に回れば厄介極まりない、それがお父様だ。
「……まぁ細かい事は置いといて、だ。エウレアに関する噂も殿下とその一派が拡めた物であり事実無根である、と公式に宣言してくれる事になった。ただなかなか鎮めるのは難しい」
「大丈夫です、私もう社交の場に出るつもりは一切ありませんので言わせておけば良いのです」
「強いなぁ、流石は我が娘。で、殿下は嘘の噂と勝手に婚約破棄した罰で王太子の身分剥奪、王家からも縁を切られ平民として生きる事になった。その一派も跡取りとしての身分は剥奪、各家とも絶縁となった」
「妥当な判断ですね」
「例の男爵令嬢は修道院に入れられる事になった。念の為に背後関係を調べたが特に問題は無かった」
「それじゃあ殿下は男爵令嬢に言葉巧みにやられちゃったんですね」
「みたいだな、まぁ色仕掛に引っかかる時点で王として大問題ではあるがな。まぁ大体の決着はついた」
「ありがとうございます、お父様」