好きって言える人が羨ましい
「好きな食べ物はなんですか?」
この質問をされたことがないという人に会ったことがないほど、ポピュラーな質問だ。
この質問をされた時、私は固まる。
なんと答えていいか分からないからだ。
しかし、好きな食べ物はたくさんある。豚心臓も好きだし、いぶりがっこも好きだ。アーモンド小魚だって好きだ。挙げだしたらキリがない。
なのになぜ固まってしまうのか。それは私がこの質問の意味を「1番好きな食べ物はなんですか」と認識しているからだ。
1番を聞かれると本当に分からなくなる。その時の気分で変わるからだ。そしてそれを覚えていない。今は多分ウニかビーフジャーキーだ。インドカレーのような気もしてきた。
すぐに答えられる人は本当にすごいと思う。と同時に少し疑ってしまう。
それは本当に1番なのか? かりそめの1番ではないのか? と。
かりそめの1番とは、人に聞かれた時用の好きなものリストのことである。
おそらく彼らは本来の自分とは別に紹介用の自分をもう1体持っており、そこにプロフィール帳が埋め込まれているのではないかと思う。じゃなきゃあんなにすぐに出てこない。
もちろんこれは食べ物に限ったことではない。音楽や色、好きな女性のタイプなんかもそうだ。すぐに答えられないどころか、自分がなにが好きなのか分からなくなる。
だから羨ましーーーーーっ!!!!
唐揚げ食いてぇーーーーー!!!!
ウニが1番好きなはずなのに、ウニ食いてーーー!!! と叫んだことがない。なぜだろうか。身の丈にあっていないからだろうか。
そうだ、思い出した。私の住んでいる地域では美味しいウニは手に入らないんだった。めちゃくちゃ金をかけるか、海の近くまで行かなければ美味いウニは食べられない。だから私はウニ衝動を起こさないのか。
1番好きな漫画家は誰ですか!
うーん、うーん⋯⋯
藤子・F・不二雄先生かなぁ。
1番好きな小説家は誰ですか!
いません。
1番好きなバンドは!
エドガイ!
1番好きなギタリスト!
ジーノ!
1番好きな色!
レインボー!
1番好きなカニ!
毛ガニ!
1番好きな鼻!
天狗!
1番好きな天気!
晴れ!
1番好きな俳優!
阿部寛!
1番好きな阿部寛!
えっ!? ⋯⋯あ、トリック!
1番好きな刺身!
本マグロ!
1番好きな自分の部位!
本マグロ!
どうしよう、普通に即答出来るんだけど⋯⋯
このエッセイなんの意味もないやん⋯⋯
ということで、私は即答出来るけど、好きなものがすぐ浮かばないってのに共感してくれた人はぜひ感想よろしくお願いします!
破綻してしまいましたね。