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邦画の浜辺で走る女(100人)【1000文字未満】

作者: 平之和移


 どこかの浜辺。雨の下。迫っては帰る光景に似合わぬ走行の轟きが響く。砂埃。観客のようにまくし立てる叫び。


 女が走っていた。計百人。海と平行に、どこかへと。彼女達はそれぞれに叫んでいた。


「ゆうやぁぁぁ!」「けんちゃぁぁぁぁぁん!」「はるとぉぉぉぉぉ!」「みなみぃぃぃぃ!」「たつやくぅぅぅん!」「ゆうとぉぉぉぉ!」「あるまぁぁぁぁぁ!」「ひがしぃぃぃぃ!」「にしぃぃぃぃぃぃ!」「ひがさぁぁぁぁ!」「かんもぉぉぉぉぉ!」


 何かの競技かと服を見れど、普段着の大軍だ。その勢力を撮る人々が何百人か。祭りであれば大祭だが、目には困り事を浮かべていた。

 

「監督」タオルを頭に巻いた男が聞く。「どれがうちのっすか」


 監督はサングラスを光らせた。「多分、後続にいるな。これじゃあ映せんよ」


「だったら他の場所で撮りましょうよ」


「いや、ダメだ。他のも映画の撮影で使っている。今頃日本中の浜辺に女優がひしめいているだろうな」


「でもコレ、予告編っすよ」


「スポンサーからの意向なんだよ。浜辺で走る女が意中の相手の名を叫ぶシーンを撮れってさ」


「はぁ。なんでそのシーンなんすか? もっとこう、いいシーンとかあるでしょう」


「さぁな……」


 女優達は砂埃と雨粒にまみれた髪を揺らし、カットが入るまで走った。





シチュエーションは知っているが具体例は知らないタイプの偏見。

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