表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/69

出歯亀出来ればいいから!4【イラストあり】

仲良しなライラとリリスの挿絵がありますのでよければご覧ください。

花をもりもりにしました!

※<>内の言葉は日本語です。


 しかし、ジンジャー様が教師に呼ばれて用事が出来て、リリス様がそれを待っているのに付き合っているこの状況って、なんか友達っぽくない?

 これはもしや「お友達になってください」と告白するチャンスでは!?

 思い出せー、私。

 仲良くお茶をしたことがある、クリア。

 休み時間や放課後に楽しくおしゃべりをする、クリア。

 一緒にお昼ご飯を食べる、クリア。

 共通の秘密があってなんだかんだと仲間意識がある、クリア。

 いけるのでは?

 これだけ揃っていればお友達なのでは?

 だ、大丈夫。私はやればできる子だから!


<リリス様!>

<はい、なんでしょうか?>

<えーっと、あの、……そのですね……私と、あの~……お、おと……おとっ……音ゲーってしてましたか?>


 違うでしょー! 私のばかー! いくじなしー!


<音ゲーですか? 生憎前世は音感があまりなくて手を出していませんでしたわ>

<そうなんですか、なんか意外ですね。……って、そうじゃなくて、あのですね!>

<はい、どうしましたの?>

<りっリリス様とおっ……お、お~……おとっお友達になるには、ど、ど、どどどうしたらいいでしょうか!>


 言ったぞ! 頑張ったぞ私!


<お友達でして? わたくしとライラ様が?>


 キョトンと首を傾げるリリス様に、まさかの「ごめんなさい」の流れでは? と嫌な汗が背中に流れるのを感じる。


<それは、その……許されるのでしょうか?>

<え?>

<いえ、人間が魔王陛下の姫君の友人になるなど、許可が出ないのではないかと思いましたのよ>

<な、なんでそう思ったんですか?>

<ほら、前世でも高貴な方にはご学友が選出されて(・・・・・)いましたので、そういった通知が来ないわたくしでは無理なのだと思っておりましたの>

<そうなんですか!?>

<そもそも、魔王陛下がお許しになるでしょうか?>

<許します! 許させます! 何だったら泣きつきます!>


 いける! 押し切れ、私!


<そうですの? 魔王陛下のお許しが頂けるのでしたら、ぜひわたくしの方からもお友達になって欲しいですわ。もちろん、外交や打算を抜きにして>

<ありがとうございます!>


 感動のあまりリリス様の手を取って握り締める。


<私、前世を含めて今までお友達っていなかったので、リリス様が正真正銘の初めてのお友達です!>

<え? 前世でも!?>

<はい! ほぼ病院暮らしだったのでお友達が出来ませんでした!>


 意気揚々と語る私にリリス様が驚いたように目を瞬かせた。


<病院暮らしでも友人の一人ぐらいは……>

<いつ居なくなるかわからないし、残される側の気持ちが複雑なので出来ませんでした!>

<そ、そうですの……前世での現場はわたくしが思っていたよりも深刻ですのね。これは反省して生かすべきですわ>


 リリス様がそう言って頷いたところで教室にジンジャー様が入って来た。


「おや、麗しい姫君が二人で仲良くしているのは絵になりますね」


 そう言って近づいてきて私が握り締めているリリス様の手を見ている。

 あ、婚約者の前で同性とはいえこれはまずいのかも?

 そう思って慌てて手を離すと今度は逆にリリス様に手を掴まれた。


「ふふ、わたくし達は相思相愛のお友達になりましたのよ」

「そうなんですか?」


 お友達は事実だけど相思相愛って、婚約者で本物の相思相愛のジンジャー様に言っていいの!?


「それも打算抜きの正真正銘の友情ですわ」

「それはすごいですね」


 ジンジャー様が驚いたように言うと、教室内に残っていたクラスメイトも驚いたような顔をして私達を見てくる。

 なんか変?

 私に友達が出来るってそんなに変な事なの!?


「わたくしもライラ様とお友達になるのは魔王陛下がお許しにならないと思って諦めておりましたが、ライラ様が魔王陛下にお友達になってもいいとお願いしてくださるそうなんですの」


 にこにこと上機嫌のリリス様。

 これ、本当に打算抜きだよね?


「確かに二人はよくわからない言語で話したりしているから、仲がいいとは思っていましたけど、そこまでですか」

「ふふ、光栄ですわ。それにしても、ライラ様が魔王陛下にお願いしてくださるとはいえ……例えばライラ様と仲良くなって便宜を図ってもらおうとか、この機会に魔国と契約をしたいなどという下心を持った方でしたらライラ様がお願いなさっても魔王陛下はお許しにはならないと思いますわ。ね、ライラ様」

「え? ええ、そう……かもしれませんね」


 リリス様の言わんとしていることが分からないけど、オルクスならそういう目的で私に近づく人は認めなさそうだと頷く。


「本当にライラ様は魔王陛下に愛されていますわね」


 ニコニコと言うリリス様に、間違ってはないなぁと頷く。


「魔王陛下はライラ様には恋愛はまだ早いとお考えだとも聞きましたし、そう言う目的の方も近づくのを好まないと思いますわ」

「そうですね」

「そもそも、従者にあのように美しい方々がいますので多少お顔に自信がある程度の方では、勝負にすらなりませんわよね」

「えーっと、まあ、ヴァンスたちは確かに美形ですね」

「異性であるのに学院にまで付き従う事を許されるほど魔王陛下に信頼されている従者がいるのですし、ライラ様に不埒な思いを持って近づく方は居ませんわよね」

「そうですね?」


 リリス様は何が言いたいんじゃろな?


「中等学園にも高等学院にも毎年幾人かの留学生はやって来ますが、今年の高等学院への留学生は本当に多いんですの」

「そうなんですね」


 『フルフル』の攻略対象とかいるからある程度はしかたがないのでは?


「留学の目的が明らかにライラ様を狙っている方は弾かせていただいたそうですけど、それでも建前をうまく使って潜り込んだ方はいらっしゃいますもの。ライラ様のお付きのメイドや従者も大変ですわね」

「……つまり、教養を深めるためではなく私を目的として留学してきた方がいるのですか?」

「そうですわ」


 うーん、オルクスも言ってたけど私って狙い目に見えるんだろうな。

 溺愛されてるのは間違いないし、私経由でオルクスに取引の持ちかけが出来るんじゃないかって企んでる国が多いのか。

 でもなぁ。


「確かに、私は友人が困っていたら手を差し伸べるかもしれませんがそれはあくまでも個人的な物ですよ。公私の区別はつけていますし、そもそも打算目的でお友達になったところで嬉しくも何ともありません」

「全くですわ」


 王侯貴族の人脈は基本打算だらけだけどねぇ。

 申し訳ないけど魔族の私はそういった人間の思惑(・・)とはちょーっとずれたところにいるんだなぁ、これが。


<『フルフル』で登場しなかったのに留学してきてる人ってもしかしなくても>

<ライラ様と仲良くしてくるように王命を受けていると思いますわ>

<私を利用したって父が知ったら逆にとんでもない目に遭うと思うんですけどね>

<それを存じ上げないお国か大丈夫だと高をくくっているお国なのでは? 情報は生ものですもの、常に新鮮とは限りませんわ>

<私は『フルフル』のイベントを出歯亀したいだけなんですけどね>

<シオンが居ない今となっては絶望的ですわね>

<そこはジンリリで!>

<わたくしですの!?>

<お友達の恋バナを聞くとか現場を偶然(・・)目撃するって青春っぽいですよね!>

<ライラ様の中の青春の基準がわかりませんわ>

<スクールライフで友達と遊ぶ?>

<……間違っていないとは思いますが、青春というのはもっとこう、なんというか希望と信念に身を任せて多少の無茶をするというか……>

<私がペオニアシ国に居る事自体が既に多少の無茶だと思います!>

<それもそうですわね>


挿絵(By みてみん)

よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ライラが(前世含め)初めての友達をゲット。 咲き誇る花が綺麗ですね。 >>残される側の気持ちが複雑 今生ではライラが残される側…ちょっと切ない。 魔族の寿命からするとほんの短い時間で人間は…
[良い点] 妹がアレだったリリス様に幼女モードを披露したら化学変化が起きそうですね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ