穴の開いた豪華客船8 シオン視点
残酷な描写ありにチェックを入れたのはこの話のせいです。
そしてちょっとホラーテイストです。
お気を付け下さい!
毎晩ジルド様と楽しんでぇ、これからどうやってお姉様に仕返ししようかってぇ二人で考えてるうちに日にちが過ぎて行ってぇ、ジルド様はぁ与えられた客室じゃなくってぇシオンの部屋で毎日を過ごすようになったのぉ。
だんだん食事とか貧相なものになっていくけどぉ、これもお姉様の嫌がらせよねぇ。
シオンが女王になったらぁ、お姉様はぁヒヒ爺と結婚させてぇ、シオンの代わりに馬車馬のように働かせるのぉ。
ああでもぉ、女の喜びを知らないのもかわいそうだからぁ、慰み者にしてあげるのもいいかもぉ。
シオンってばやっさしぃ。
そう考えその日もいつも通りジルド様と仲良くしてたらぁ、いきなり部屋に人が入ってきたのよぉ。
「な、なんなんですかぁ」
「これより太陽の宮は一時的に封鎖されます。前国王陛下がサインなさった通りに準備がすべて整いましたので、皆様にはご退去いただきます」
「そんなのシオン知らないですぅ。お父様に言いつけますよぉ」
「前国王陛下は現在捜索中です」
「へ?」
部屋に入ってきた護衛騎士の言葉にぃ、思わずポカンとしちゃったぁ。
お父様がいないってことぉ?
「どういうことですかぁ?」
「さて? 前国王陛下がどこに逃げたのかは捜索中ですからね。この太陽の宮には万が一の為に隠し通路がいくつもあるそうですから」
「逃げたって、どういうことですかぁ? シオンを置いて行ったっていう事ですかぁ?」
「そうなのでは?」
「うそですぅ。あなたたちもお姉様の差し金ですねぇ、シオンを虐めに来たんですぅ。ジルド様ぁ、シオン怖いですぅ」
そう言って隣で茫然としていたジルド様に抱き着くとぉ、ジルド様はぁハッとしたようにぃシオンを抱きしめてくれたのぉ。
「シオン様に対して何たる無礼な行いを! シオン様は女王になるお方だぞ!」
「ジルド様ぁ」
かっこいぃとうっとりしようと思ったらぁ、護衛騎士の人たちがぁ一斉に笑い出してぇ気分が台無しぃ。
「そこの女が女王になれるわけがないじゃないですか」
「はぁ?」
「前国王陛下は、弟のスコルナ様に仮の王位をゆずり、その後は正式にリリス王女殿下を女王にするという誓約書にサインしましたよ」
「そんなわけないですぅ。だってぇ、継承権争いはぁまだ決着がついてないですぅ」
「そんなものどうでもいいんですよ」
「へ?」
「魔王陛下より抗議文が届いています」
「な、なんですかぁそれぇ」
「『我が最愛の娘に対して度重なる不敬は度し難い。金輪際一切完全に娘の目の前に愚物が現れることが無いように』と。それを受け、元老院をはじめ貴族は前国王陛下並びに毒婦シロッカの産んだ娘の抹消を行うことを取り決めたのです」
「そ、そんなの横暴ですぅ。えっとぉ、他国の王様がぁよその国にそんな事言っていいはずがないですぅ」
「話を聞いていないのですか? 抹消を決めたのは我が国の貴族ですよ」
「国王にぃそんなこというなんてぇ、反乱ですぅ」
「そ、そうだ! それにお前たちが嘘をついていない証拠がどこにあるんだ!」
ジルド様の言葉に護衛騎士がまた笑って嫌な感じぃ。
「前国王陛下がそこの女の目の前でサインしたんでしょう?」
その言葉に、確かに少し前にぃお父様がオジさんたちからいくつも書類を渡されてぇサインしたのを思い出したけどぉ、だからなんなのよぉ。
「その中には譲位の誓約書もあったんだよ。元老院の方々の話じゃ、内容も確認しないでいつも通りサインしたっていうじゃないか」
「それがぁなんなんですかぁ」
「魔王陛下の姫君の温情で国が存続出来るってのに、滅亡の原因になるかもしれない愚物を残しておくわけがないじゃないか」
「ひどいですぅ! どうしてそんな事言うんですかぁ。お姉様に言われてシオンをいじめてるんですねぇ」
「はいはい。被害者ぶってる加害者ってたちが悪いですよね。とにかくご退去いただきます」
そう言ってシュミーズドレスだけのぉシオンにぃ手を伸ばしてきたと思ったらぁ、強引に縄で縛ってきたのぉ。
ジルド様に助けを求めようとしたらぁ、ジルド様も同じようにされててぇ、がっかりぃ。
「いったぁい、シオンはお姫様ですよぉ。優しくしないとだめなんですぅ」
「この国にシオンなんて姫はいませんよ」
「へ?」
意味わかんないんだけどぉ。
「魔王陛下の姫君に不敬を働いた女の名前がシオンとは聞いていますが、それももうすぐ抹消されますので」
「意味が分からないですぅ」
涙を浮かべて同情を誘うように言ってみたけどぉ、馬鹿にしたような顔をされてぇ、シオンはぁジルド様と一緒に引きずられて薄汚い牢屋にぃ連れて行かれちゃったのぉ。
翌日ぅ、牢屋から連れ出されたシオン達はぁボロボロのお父様と合流したけどぉ、お父様はぁシオンを見て悲しそうにぃ顔を歪ませたけどぉ、シオンを置いて行ったとかぁありえないしぃ。
連れていかれたのはぁ、見た事の無い場所でぇキョロキョロしてたらぁ、真っ青な顔のお父様が目に入ってぇ首を傾げるとぉ、お父様がぶつぶつとぉ「嫌だ」って言ってるのが聞こえたのぉ。
「わ、わたしは国王だ、こんな所で殺されるなんてっ。メロナがわたしをたぶらかしたんだ! そのメロナをこの手で殺したんだからわたしは許されるはずだろう! 罪人は処分したんだから!」
そう言ったお父様の服はぁどす黒く汚れててぇ、国王の威厳が台無しぃ。
情けないなぁってお父様を見てるとぉ、なんかぁ空気が変わった気がしてぇ視線を動かしたらぁ、オルクスがいてぇシオンはぁやっぱりヒロインなんだって思ったのぉ。
ここで最強のオルクスがシオンの味方をしてくれればぁ、大逆転だしぃ。
「魔王様ぁ、シオンの為に来てくれたんですねぇ。聞いてくださいよぉ、皆でぇシオンを虐めるんですぅ。こんな扱いされるなんてぇ、シオンショックですぅ」
目いっぱい可愛いシオンをアピールしたしぃ、同情してもらえるようにしたのにぃ、オルクスってばちっとも反応してくれないってひどすぎぃ。
「不快だな。顔と喉をつぶし、歯を残らず抜いて手足を切り落とし、慰み者として遊ばせてやれ」
言われた言葉の意味が分からなくてぇ、首を傾げるとぉ、強引に口を開かれてぇ
「ぎゃぁぁぁぁぁっ」
シオンの歯が無理やり引き抜かれたのぉ。
痛みにのたうち回る暇もなくぅどんどん歯が抜かれて行ってぇ、こんな拷問ありえないってぇ涙を流して周囲を見るとぉ、ジルド様とお父様がぁ、同じようにされてるのが見えてぇ、なんでぇってオルクスを見るとぉそこにはもう誰も居なかったのぉ。
その後は、歯を抜かれる痛みで気絶しそうになるのにぃ、新しい痛みでぇ気絶も出来なくてぇ、だらだらとぉ血が流れても最後まで歯を抜かれたのぉ。
「あが……」
何かの液体を飲まされてぇ、焼けるような痛みに声を上げようとしたらぁ、声が出なくてぇ、息を必死ではいてたらぁ、今度は顔に液体をかけられたのぉ。
「っっっっっっっ」
焼けるような痛みに、顔が溶けていくような感覚にこんなのはシオンの役目じゃないってぇ必死にぃ神様に訴えたけどぉ、まったく次の人生にならないのぉ。
そうしてるうちにぃ、手足が熱くなってぇ身動きが取れなくなったと思ったらぁ、急に痛みがなくなったからぁ、やっとぉまた生まれ変わるんだって思ったのよぉ。
視界もぼやけて明るさの判別ぐらいしかできない中でぇ、シオンはぁ好き勝手に弄ばれてるのぉ。
どうしてぇ? シオンはお姫様なのにぃ。
隣ではぁ同じようなぁ息が吐き出されるだけのぉうめき声が聞こえるからぁ、もしかしてぇジルド様もぉ同じなのかもぉ?
お父様はぁどうなっちゃったのぉ?
シオンはぁヒロインなのにぃ、こんなのってぇシナリオ崩れっていうやつでしょぉ。
「ガッ」
いきなり首を締め付けられてぇ息が出来なくなったと思ったらぁ、ゴギィって音がしてぇ意識がなくなったのぉ。
気が付いたらぁ空中に浮かんでてぇ、首が可笑しな方向に曲がったシオンを見下ろしてたのぉ。
なんでシオンがこんな目に遭うのぉ?
シオンはお姫様でぇヒロインなんだからぁ誰よりも愛されるべきなのにぃ、シオンの体ってばぁなんであんなにひどいことになってるのぉ?
手足もなくて小さい頃に壊した人形みたいだしぃ、汚されてボロボロでぇ、可愛い顔もぐちゃぐちゃのデロデロぉ。
なんでぇ? 早く次の人生でお姫様にならなくちゃいけないのにぃ、なんでまだシオンはここでぇ好き勝手にされてるシオンを見なくちゃいけないのぉ?
なんで薄汚い男にぃシオンが好きにされなくちゃいけないのぉ?
シオンはぁヒロインでお姫様なんだからぁ、あんたたちが触っていい相手じゃないのぉ!
やめてよぉ! シオンの体に触らないでよぉ!
早くっ早く次の人生に切り替わってよぉ!
やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ!
必死に手を伸ばして阻止しようとしてたらぁ、カツンて足音がしてぇ新しい人が来たのぉ。
あれって、シオンを邪魔した白髪女ぁ? オルクスと一緒に居るとかなんなのよぉ!
「まったく、こんなゴミを見たいなど」
「でもパパ、シオン様が本当に転生者ならもっとうまく動いていただろうし、どうなってるのか気になっちゃったの」
はぁ? 転生者って、シオンの邪魔をしてきた白髪女は転生者なのぉ?
それってヒロインであるシオンの特権でしょぉ!
「でも、パパってば声も潰しちゃうし顔や手足もこんなにして……。これじゃあ話を聞くどころじゃないし、もう手遅れだし……」
「死んだものに話を聞く方法も存在はするぞ」
「ん~、そこまではいいかな。こうなっちゃったらどうでもいいし」
シオンをどうでもいいとかぁどういうことぉ!
ふざけるな! あんたが邪魔しなければぁ、シオンはハッピーエンドだったのにぃ!
「そうか、ではもう行くぞ。そこのゴミは魂も未来永劫悪夢の中だ」
「はぁい」
オルクスがそう言った瞬間、背後から黒い手がぁ何本も伸びてきてシオンの体をつかんだのぉ。
はなしてよぉ! シオンにぃ触らないでぇ!
シオンはぁヒロインなのぉ! 皆に愛されるべき人間なのぉ!
そう考えた瞬間、何かが抜け出たような感覚がしてぇ、黒い手がぁめりこんできたのぉ。
いやぁぁっはなしてぇっ! シオンにさわらないでよぉ!
『お前のせいだ』
『お前が居なければ』
ふと聞こえた声に振り向くとぉ、パパとママがいてぇ、シオンを睨んできてるしぃ、その後ろには知らないボロボロの人がいっぱい。
『お前のせいで私は一生歩けなくなったのよ! 治療費もお前のせいで払えなくて、私は一生寝たきりになったのよ!』
『お前のせいで会社はつぶれた。社員も路頭に迷った! 父さんと母さんはせめて社員へ最後の給料を払うために保険金目的で自殺した! 全部お前のせいだ!』
パパとママの後ろの人たちもぉ、シオンを口々に責めてくるのぉ。
シオンはなにも悪くないもん。
ちょっと押したらぁママが勝手に階段から落ちたんだもん。
ネットで騒がれてぇパパの会社が大変になったのはぁ、パパがシオンの言う通りに動かないからだもん。
おじいちゃんとおばあちゃんだってぇ勝手に自殺したんでしょぉ。
あんたたちが死んだのはぁ、シオンのせいじゃないしぃ。
ちゃんとシオンのいう事を聞かなかったパパとかぁ、領主とかいう人が悪いんだしぃ!
『お前のせいだ!』
『私達の苦しみを思い知れ!』
やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ!
悪くない、シオンは何も悪くないんだからぁ!
知らない知らない知らない知らない知らない知らない!
来ないでよぉ、シオンをそんな目で見ないでよぉ!
シオンはぁ愛されるべきお姫様なのぉ!
こんなのはぁ認めないんだからぁ!
こないでよぉ! シオンから離れてよぉ!
苦しいっ痛いっ! 体が動かない、呼吸が出来ない!
あんたたちはぁシオンの踏み台になる存在のモブなんだからぁ、離れなさいよぉ!
そう叫んだつもりだったけど声は出なかったのぉ。
でもぉ、代わりにぃまた何かが抜けていくような感覚がしてぇ黒い手がシオンの体にめり込んで来たのぉ。
気持ち悪さが一気に襲ってきてぇ、逃げようとしたけどぉ黒い手は離れないしぃ、パパとママたちもシオンにぃ手を伸ばしてきたのぉ。
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
シオンは幸せになるお姫様なんだからぁ!
こんな苦しい思いとかぁする人間じゃないのにぃ!
神様ぁ! シオンを助けてよぉ! かわいいかわいいシオンを助けてよぉ!
『お前さえいなければ!』
恨めしく叫ばれた声が反響して鼓膜が破裂しそうになったのぉ。
なんでぇ、どうして神様はシオンを助けてくれないのぉ?
いやぁ、こんなのシオンに相応しくないよぉ。
助けてぇ、誰か助けてぇ!
そう叫んだところで目の前にジルド様が顔をうつ向かせて現れた。
出ない声でジルド様に助けを求めたらぁ、ジルド様が顔を上げたけどぉ、その顔はぁ皮膚がドロドロに溶けてぇ、骨や肉が見えてもう化け物と同じだったのぉ!
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
『お前のせいだ!』
ジルド様はそう言ってぇ、シオンの首に手をかけて締め付けてくる。
苦しい、息が出来ない。
助けてぇ、苦しいよぉ、シオンはぁ愛されるお姫様だからぁ、こんなのおかしいよぉ。
恨みの籠った声が終わらない。
ずっと首を締め付けられて息が出来ない。
体も動かない、ガンガンと殴られたような痛みが頭に響き渡る。
助けてよぉ、誰かシオンを助けてよぉ。
シオンへのざまぁはこれにて終了です!
穴の開いた豪華客船8の文字数が多いのは、なんとかシオン視点を2話にまとめた結果です!
シオン視点を長々と書くの大変なんです、読むのもしんどいでしょうし……。
あと、詳しい描写しちゃうと年齢制限に引っかかっちゃうからね!
メロナは隠し通路で迷っていたところを愚王と一緒に発見されてその場で逃げる時間を作ろうとした愚王に殺されました。
愚王は慰み者ではなく南部で十字に吊るされて死ぬまで石投げの刑にされました。
さて、心機一転、スクールライフを楽しむゾイ!
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こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。




