表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/69

入学式当日4【イラストあり】

制服姿のライラが居ます!

よかったら見てみてください(≧▽≦)

 ちょっとした(・・・・・・)騒ぎはあったものの、入学式は定刻通りに開始した。

 無駄に長く話す人もおらず、サクサクと進行してくれるのはありがたいわ。

 前世でお偉いさんの長ったらしい話を聞いているうちに具合が悪くなることが殆どだったから、延々と続く口上ってちょっとトラウマなんだよね。


「続きまして、新入生代表挨拶。ライラ=ブランシュア様、どうぞ壇上へおあがりください」

「はい」


 呼ばれて立ち上がると迷いなく歩いて壇上に行く。

 こうして見ると、この講堂って本当にくっそ広いな。

 拡声魔法が使われているから声が届かないという事は無いけどね。


「新入生代表挨拶。広く門戸を開くこのペオニアシ国立高等学院に入学できたこと、本当に嬉しく思います。これから皆様と共に学び競い合い、己を高めるという事は、大切な経験として私達の糧になるでしょう。この高等学院に入学したからにはその志を忘れず、常識的な行動範囲を外れることなく過ごしていければと思います。最後に私的な事ではありますが、魔王の娘という事で皆様が私に敬意を払ってくださるのは嬉しく思います。しかしながら共に学ぶ皆様とは節度を守りつつも親しくしたいと思います」


 魔王の娘への礼儀を守った上で、過剰に委縮しないでね。

 そう言ったんだけど、ちゃんと(・・・・)理解できない人もいるみたいだなぁ。

 まぁ、そう言う人の対応はその時々に個別でするしかないね。

 出来るだけ優雅に頭を下げて壇上を降りると席に戻る。

 その後も恙なく入学式は進み、最後に締めの挨拶が行われて解散となった。

 これから各科でそれぞれ新入生歓迎会が行われるのだけれども、主催する科によって趣がだいぶ違うらしい。

 『フルフル』の攻略者の話だからよく知らんけどな!


「第一貴族科まで距離がありますね」

「そうですわね、中等学園もそれなりに広かったですが、高等学院の広さは流石にどうかと思いますわ」


 そう言って同時に立ち上がり、講堂の出入り口の一つに向かって歩き出す。

 先ほどの言葉を正しく理解した人は、道を譲りながらも頭を下げるという事はしない。

 正しく理解できずに頭を下げた人も、周囲の反応に恐る恐るといった感じに頭を上げている。

 うんうん、ヴァンスたちが居るからあんまりにも親し気にするのも駄目だけど、過剰に畏まられるのも困るからね。

 そう思って歩いていると、私達の前を塞ぐように集団が現れた。

 この状況でこんな事をするのは当然シオン様達なんだよなぁ。


「あなた誰ですかぁ? シオンが知らない人が新入生代表挨拶するなんてぇ、おかしいですぅ」


 お前の目は節穴か? それにさっきの挨拶で思いっきり魔王の娘と名乗りましたが?


「あらシオン様、先ほどはリリス様の隣に座っていたのですが、お気づきになりませんでしたか? それは残念ですね」

「へえ? あなたってぇ、お姉様の新しい取り巻きですかぁ?」

「先日お会いしたのに私の事を忘れてしまったんですか? しっかりとご挨拶もしたのに、私はその程度の価値しかないとシオン様は思ったんですね」

「はぁ?」

「リリス様にお茶会に誘われた際、シオン様が突然いらっしゃったじゃないですか。もうお忘れなのですか?」

「お茶会ぃ? あぁ! あんた! あの時シオンを吹き飛ばした人ですねぇ! シオンってばあの後気絶して大変だったんですよぉ!」


 吹き飛ばしたのはオルクスなんだけど?

 そして、大変だったのはリリス様やシオン様の面倒を見る羽目になった人だと思うけど?

 そこでシオン様が私の後ろにいるヴァンスに気づいたみたいで、瞬時に目を潤ませた。


「シオンあの後ぉ、体中が痛くって起き上がれなかったんですぅ。ショックで食事も出来ませんでしたしぃ、なんかわからないけどぉ知らないオジサンにお父様と一緒に怒られちゃったしぃ、本当にひどい目に遭ったんですぅ」


 オルクスが元老院(・・・)宛てにペオニアシ国の妹姫が、オルクスと私に無礼を働いたって正式に抗議したからね。

 そりゃぁ、元老院の人も慌てて原因になったシオン様と甘やかしてるペオニアシ国王を説教しに行くだろうね。

 下手したら外交問題すっ飛ばして一発滅亡コースだもん。


「あなたもぉ、そんなひどい人に仕えるなんてぇ可哀想ですぅ。シオンだったらぁあなたを悲しませないのにぃ。……あ、そっちのあなたもぉ、よかったら二人でシオンの所に来ませんかぁ?」


 妹姫(ヒロイン)は恋愛イベントのフラグ建築士であって、死亡フラグの建築士ではないはずなんだけどな。


「はあ? オレが姫様以外に仕えるとかないけど? しかも、こんな国の継承権争いでも負け濃厚のただの姫にとか、絶対ないね」

「なっ! ひ、ひどいですぅ。シオンはぁ一生懸命がんばってるのにぃ、きっと仕えてる人がひどい人だからぁ、洗脳されちゃってるんですねぇ」

「失礼ですが、姫様を陥れるような発言はお止めいただけますか?」

「そんなぁ、その人の前だからって無理しないでいいんですぅ」

「無理をしているというのなら、こうして貴女と話している事自体無理をしていますよ。魔王陛下の姫君にこんな無礼を働くなど、この国はどうなっているのでしょう」


 はいはい、ぶっ殺さないように我慢してるのね。

 イオリもシオン様にイライラしているけど、ノーマがさっきから素早く小突いて落ち着かせてる。

 でも、小突く力が強いからノーマもイラついてそう。


「ちょっと待て、魔王陛下の姫君だって!?」


 シオン様が礼儀知らずなのは知ってるけどさ、お前らも大概だな?

 さっきの私の挨拶を聞いてなかったの?

 私がいつ発言を許可した? 確かに過剰反応はして欲しくはないけど、節度を守れとも言ったはずだよね?

 主にお前たちの命の為に。


「まあ、この高等学院では名乗らなくても皆様が私の事を知っていたようですけれど、そうでない方もいたのですね、リリス様」

「そのようですわね。今年魔国の姫君が留学していらっしゃる事、そのご容姿は魔王陛下と同じ銀髪に銀目だと全ての王侯貴族に周知しましたのに、不思議ですわね」

「他の銀髪銀目の方と勘違いしたのでしょうか?」

「まさか。銀髪だけならともかくとして、銀目も兼ね備えた方など、魔王陛下を除けばライラ様以外に居ませんわ」

「確かに珍しいですよね。でも、それでもそちらの皆様はご存じなかったようですね」

「そのようですわね、先ほども言いましたが周知しましたので、王侯貴族でしたら絶対に知っているはずですのに、どうしてなのかわかりませんわ」

「ああ、もしかして知っていてわざとこのような態度を取られているのでしょうか? 私が先ほど伝えた言葉を勘違いして、私を愚弄していいと思ったのかもしれません」

「そうだとしたら貴族として一から学び直すべきですわね」


 私とリリス様の会話にジルド様を始めとした攻略対象者たちが顔色を悪くする。

 常識的(・・・)に考えて、魔国の姫君に失礼な事をしたらやばいからね。


「でもぉ、シオンは魔王に娘がいるなんて知りませんよぉ。偽物なんじゃないですかぁ?」


 こんの馬鹿妹姫(ヒロイン)

 お前は恋愛フラグだけ立ててなさい! 死亡フラグを立てるな面倒くさい!


「三人とも控えなさい」

「でも姫様、身の程知らずにも程があります」

「イオリに賛成ですね。温情を貰っておきながらこの態度、極刑に値しますよ」

「姫様の視界にゴミが映り込むなんて、目が穢れてしまいますね」

「だから控えなさい」


 入学式当日に妹姫(ヒロイン)死亡で乙女ゲーム終了、魔国へ帰還とかまじやめて。

 私は前世では出来なかったスクールライフを楽しみたいの。

 そして『フルフル』のイベントを覗き見したいの!

 ぶっちゃけ後者は半分ぐらい諦めてるけどね。


挿絵(By みてみん)

よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] スクールライフルを満喫するには、継承争いとは関係なく卒業まで学園に通うという条件にしないと駄目では? [一言] 取り巻きは気付くのが遅すぎるし、ヒドインは安定のキ印。 この場を収めなけ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ